ABBモータ、99.13%のエネルギー効率で新たな世界記録を樹立
ABBが製造した大型同期モータが、インドの製鉄所向けに開発され、なんと99.13%という驚異的なエネルギー効率を達成し、これによって新たな世界記録を樹立しました。このモータは、「Top Industrial Efficiency(TIE)」の設計理念に基づいており、過去8年間の間に達成された世界記録を大幅に更新する功績を上げました。
エネルギー効率の特性
モータの効率は、消費するエネルギーと生成される運動エネルギーの比率であり、理論的には100%が限界とされています。ABBの新モータは、この理想に非常に近づく設計がなされており、この技術の開発は非常に困難なものでした。過去の世界記録を樹立するには、長年の研究と技術革新が必要だったのです。
この新しいモータは、25年間の運用において約600万ドルの電力コスト削減が見込まれ、これは世界最大の洋上風力発電所の4日間に相当します。また、温室効果ガスであるCO₂の排出も45,000トン削減する可能性があります。これにより、年間にして10,000台の車を道路から減らすのと同等の効果が期待されています。
TIEイニシアチブについて
ABBの「Top Industrial Efficiency」イニシアチブは、業界の性能基準を超える製品を提供する目的で設計されています。この大型同期モータは、その縁の下の力持ちとして期待される役割を果たします。環境への配慮は、単に企業の責任だけではなく、これからの産業にとって不可欠な要素となるでしょう。
モータが駆動する空気分離装置(ASU)では、液化した空気から酸素と窒素を分離し、製鋼プロセスへと供給する役割を担っています。このような高効率のモータが業界に普及することで、全体のエネルギー使用量が削減され、持続可能な製造プロセスが実現される期待があります。
ABBのビジョン
ABBのミッションは、産業をより効率的かつ持続可能にすることです。モータの高効率化が実現される中、ABBの製品がいかにして基準を超えた性能を発揮するかが、このプロジェクトによって浮き彫りにされています。会社の代表者であるブランドン・スペンサー氏は、「このプロジェクトは、私たちの製品の性能がいかに環境に良い影響を与えられるかを示しています。私たちは、常にエネルギー効率を高め、二酸化炭素排出を削減するために努力しています」と述べています。
ABBは、大型モータの効率向上に向けた挑戦に取り組んでおり、彼らの努力はこれからの産業界に大きな影響を与えるでしょう。100年以上にわたって蓄積された知識と技術が、この新記録を達成した背景にはあると考えられます。これからもABBが生み出す技術は、持続可能な未来の実現に向けて不可欠な役割を果たすことでしょう。
この革新は、エンジニアリングとデジタル化を融合させた取り組みの一環であり、ABBの役割は今後も続いていくと考えられます。特に、このモータ技術の普及が他の産業に影響を与え、エネルギー効率の向上が期待されています。