シャープが新設した衛星通信アンテナ性能測定用の電波暗室
9月12日、シャープの幕張事業所で新たな衛星通信アンテナ向けの電波暗室が運用を開始しました。この電波暗室は、特にLEO(低軌道)とMEO(中軌道)の衛星通信アンテナの性能測定に対応しており、国内の同様の施設の中でも最大級の規模を誇ります。
LEO/MEO対応の電波暗室の特長
新設された電波暗室は、低軌道及び中軌道の衛星通信アンテナの性能を短距離で高精度に測定できる「CATR(Compact Antenna Test Range)」方式を採用している点が最大の特徴です。この方式では、天井、壁、床の6面を電波吸収材で覆い、パラボラ反射鏡を使って短距離での測定を実現しています。一般的な電波暗室では80cmの衛星通信アンテナを評価するために60メートル以上のスペースが必要なところ、この新しい電波暗室ではわずか約7メートルのスペースで、同様の高精度測定を可能にします。
それにより、試験や測定を迅速に行うことができ、製品化までの開発スピードが大幅に向上します。
さまざまな測定に対応
さらに、この暗室はKu/Ka帯のみならず、最近注目を集めている6GのFR3(6-24GHz)帯の測定も実施できます。これにより、次世代のスマートフォンなど様々な製品の技術検証や試験にも活用される予定です。多様な周波数帯に対応することで、シャープは更なる革新を追求しています。
次世代通信ソリューションの共創の場
併せて、幕張事業所内に設置された「SHARP Local 5G Trial Field」が、「SHARP NEXT GENERATION COMMUNICATION Trial Field」としてリニューアルされました。これにより、ローカル5Gだけでなく、衛星通信を含めた新しい通信ソリューションの探索と開発の場として機能します。
将来的には、電波暗室も統合し、パートナー企業、大学、研究機関と協力して新たなソリューションを創出していく方針です。これらの取り組みは、業界全体の技術向上を促進するものとも言えます。
まとめ
今回の兵庫新設電波暗室の導入は、シャープにとって新しい技術革新の一歩であり、今後のさらなる成長と発展に寄与することでしょう。特に衛星通信と次世代通信技術の融合は、今後の通信産業に新しい風をもたらす可能性を秘めています。技術の進化によって、私たちの生活やビジネスにどのような変化がもたらされるのか、今後の展開に注目です。