授乳期の家族支援が進化した今、母乳育児の実態を探る

母乳育児の実態と意識の変化

ピジョン株式会社が2004年から実施している「授乳期母子状況調査」によれば、授乳に対する意識が変化しており、家庭でのサポートがより重要視されるようになっています。2024年の調査結果では、授乳を「家族で協力して行うもの」と考える母親が増加しており、これは特に新生児を持つママたちにとって新しい視点を提供しています。

授乳と家族の関わり

調査の結果、0～5ヵ月の子どもを持つ母親の64%が「授乳は家族で行うべきだ」と考えていることが明らかになりました。これは前回調査と比較して6ポイントの増加を示しています。授乳はもはや母親だけの仕事ではなく、夫や他の家族からの理解と協力が重要視されています。この傾向は、育児に対する共同責任の意識を反映しています。

栄養源の多様化

また、栄養面でも変化が見られます。かつては母乳のみが主流でしたが、現在では「さく乳した母乳」や「液体ミルク」などが増え、栄養源の選択肢が広がっています。調査によれば、母親の29%がさく乳した母乳を与え、23%が液体ミルクを利用しているとのことです。このように、乳児に対する栄養の選択肢が多様化した背景には、生活環境や社会的なニーズの変化があると考えられます。

母乳育児率の現状

さらに、母乳育児率は82%に達しています。これは育児用ミルクとの併用を含めた高い割合です。しかし、「母乳のみ」と回答した母親は減少しており、これには母乳育児に関する知識不足が影響している可能性が示唆されました。調査では、妊婦の約半数が母乳育児の特性を理解していないとされています。この点を踏まえると、授乳に関する情報教育が急務であることがわかります。

女性の社会進出と授乳

女性の社会進出も授乳状況に影響を与えています。働く母親の割合は増加しており、現在では約7割に達しています。このように、仕事と育児を両立させるためには、家庭内でのサポートが欠かせません。調査によると、「復職予定者」の割合も増加しており、母親は育児と仕事の両立を図っていることが窺えます。これにより、授乳に対する支援の仕組みもさらに進化することが求められています。

専門家の助言

小児科医の堀内勁氏は、授乳が単なる栄養摂取の時間ではなく、親子の絆を深める大切な瞬間であると強調しています。「授乳は、親が赤ちゃんに愛情を注ぎ、互いの存在を確認し合う時間です」と彼は説明します。そして、母乳育児の特性を活かすことで、母子双方にとってのメリットが多いと述べています。そして自分に合った専門家を妊娠中に見つけておくことが重要だとアドバイスしています。