全国小売店舗の防災対策、備蓄は進むも不安感は高い実態

防災対策の実態について

最近の調査によれば、全国の小売店舗における防災対策が見えてきました。株式会社ラクーンコマースが運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」が行ったアンケートでは、防災用品の備蓄状況や避難訓練の実施頻度について、興味深い結果が浮かび上がりました。調査の背景には、地震や豪雨といった自然災害の頻発があります。

調査概要と目的

2025年8月19日から25日の間に実施されたこの調査では、小規模店舗48店舗を対象に防災に関する実態を調査しました。近年、家庭や職場での防災対策が重要視される中、買い物中や飲食中に災害に見舞われる可能性もあるため、小売店舗の備えがどうなっているかを確認することが目的です。

調査結果の主なポイント

調査結果を詳しく見ていきましょう。まず、防災対策の見直しについては、42%の店舗が過去1年以内に見直しを実施しているものの、依然として過半数が見直しを行っていない状況です。

次に、防災用品の備蓄状況ですが、最も常備されているのが「懐中電灯」で77%の店舗が取り扱っています。他には、「感染症予防用品」が73%、「飲料水」が63%と続きます。これに対し、」長期的な災害に備えた防災用品は十分に整備されていないことが浮き彫りになりました。

避難訓練とマニュアル整備

避難訓練を実施していない店舗は77%に達し、災害時の対応マニュアルが未整備の店舗は71%でした。この状況から、実践的な対応が未だに不十分であることが明らかになる一方、備蓄の準備が進んでいるという矛盾した現実が浮かび上がります。

情報収集の手段

防災対応にあたる際、店舗側がどのように情報を収集しているかも重要です。調査によると、92%の店舗がスマートフォンの緊急速報を活用していることが確認されました。また、地域の防災無線、テレビ、ラジオなど、様々なメディアを併用しており、顧客との連携を図る姿勢が見受けられました。

不安感の高まり

それでも、営業中に被災することに対する不安感は高い結果が出ています。「非常に不安」と回答した店舗は23%、さらには「やや不安」が48%を占め、7割以上の店舗が何らかの不安を抱えている状況です。不安の内容としては、避難誘導や施設・建物のリスクが上位に上がりました。

今後の課題と取り組み

この調査からは、すでに備蓄は進んでいるものの、実践的な防災対策は依然として満たされていないことが分かりました。特に小規模店舗では、短期的な災害に注目が集まる一方で、長期的な対応が不足している傾向があります。防災に対する意識を高め、地域全体の防災力を向上させるためには、より具体的な訓練やマニュアルの整備が求められます。