愛知の老舗スイミングクラブがオランダの水泳教育視察
愛知県岡崎市に位置する岡崎竜城スイミングクラブ(代表:大森久美)は、2025年10月19日から25日までエヌエヌ生命が主催する「オランダ・スタディツアー」に参加し、世界的に有名な水泳教育制度「Swim ABC」に触れてきました。この視察によって得た知見をもとに、日本における水泳教育のあり方を「命を守る教育」として再構築することを目指します。
日本の水泳教育が抱える課題
日本では、学校のプールが老朽化し、それに伴う教員の負担が増大しています。また、維持管理コストも高騰し、学校水泳授業の民間委託が急速に進められています。しかし、地域による受け皿の不均衡が深刻で、将来的には水泳授業が実施できない地域が出る可能性も指摘されています。さらに、従来の水泳教育では、4泳法の習得や競技としての「25m完泳」に重きを置き、安全教育の整備が不十分な現状です。
オランダの「Swim ABC」プログラムとは
視察中、岡崎竜城スイミングクラブはアムステルダム周辺の3つのスイミングスクールを訪れました。それぞれのスクールでは、オランダ政府が定めた国家資格制度「Diploma A・B・C」に基づく水泳教育が実施されています。このプログラムでは、基礎的な泳ぎ方から、着衣泳や救助技術、深水での泳法といった実践的なスキルが段階的に教えられます。
- - Diploma Aでは、背泳ぎキックやカエル泳ぎ、浮き身などの基本が習得されます。
- - Diploma B、Cに進むと、着衣泳や救助スキルが求められ、合格条件には「水着でできることを着衣でも」といった通常生活に即した条件が含まれます。
- - さらに、Diploma Bを取得していない子どもは一人でウォーターパークに入れないという厳しいルールが設けられています。
オランダでは、成人の約9割が泳げるというデータが示すように、「生き延びる水泳教育」が国民の間に根付いているのです。
大使館での視察報告
視察後、岡崎竜城スイミングクラブは11月18日にオランダ大使館を訪れ、ロブ・アンデルセン副大使とリタ・ファン・ドリエル元国際パラリンピック委員会理事に視察内容を報告しました。両氏からは、水泳が外交の手段になる可能性についての興味深い見解が示され、安全水泳の再定義に対しても非常に意義深いとのコメントがありました。
今後の活動方向性
岡崎竜城スイミングクラブでは、従来のカリキュラムに着衣泳を取り入れるなど、地域の子どもたちに「命を守る水泳」を伝えてきました。今後は視察での学びを生かし、以下の取り組みを実施する予定です。
1.
オランダ式安全水泳の手法を取り入れたカリキュラムのアップデート
2.
学校や地域との連携を強化し、水泳教育を再定義
3.
水害が多い地域の特性に適した安全水泳モデルの構築
4.
日蘭間の安全水泳に関する協力プロジェクトの企画・提案
最終的な目標は、水泳教育を「命を守る社会インフラ」として再評価し、広く社会へ貢献することです。
会社情報
- - 社名:株式会社岡崎竜城スイミングクラブ
- - 所在地:愛知県岡崎市日名南町19-14
- - 代表者:大森久美
- - 設立:1973年11月
- - 業務内容:スイミングスクール運営、水難訓練普及及びトレーナー育成
- - 資本金:10百万円