博報堂行動デザイン研究所による新たな調査
株式会社博報堂が行う調査研究の一環として、博報堂行動デザイン研究所は「情報行動・欲求に関する調査」を実施しました。それにより、現代の生活者がどのように情報を扱い、何を求めているのかを深掘りすることができる資料を得ました。この調査には、15歳から69歳までの男女、スマートフォンを保有する2,000名が参加し、特にコロナ禍以降の生活様式の変化に着目しています。
調査結果の主なポイント
主体的な情報選択の傾向
調査によれば、生活者は自ら情報を引き寄せ、それを貯めこむという行動を近年積極的に行っていますが、その割合は過去に比べて減少していることが明らかになりました。具体的には、情報を「貯める」と感じる人はコロナ禍と比べて4.8ポイント減少し、情報の内容に対する確かさを求める意識が高まっています。また、「世の中の情報は多すぎる」という感覚も多くの人に共感されていることが分かりました。
情報の取り扱いへの変化
生活者の情報に対するアプローチは、「必要な時に取りに行く」という傾向が見られ、コロナ前とは異なる行動様式が現れています。さらに、「安心・安全を求める」ニーズは依然として高いものの、以前のような高まりは見られなくなっています。しかし、これに伴い生活者の自衛意識が高まっているため、よりパーソナライズされたサービスや商品のニーズが増しているとも考えられます。
新たな欲求の浮上
今後の生活者の欲求としては、引き続き「安心・安全」と「今のうちにできることをしたい」が上位に位置します。特に、物価の高騰や海外情勢などからくる不安が影響を与えているため、失敗や損失を避けたいという心理もまた強くなっているようです。
デジタルでの情報行動の変化
調査によると、生活者が情報をプールし、その後にどう行動に移すかという「PIXループTM」という次世代型行動デザインモデルが提唱されています。生活者はSNSやネットの特性を駆使して、必要な情報を巧妙に集め、それを基に自分自身を充足させる行動を取ることが示されています。これは従来の消費者像とは一線を画す行動様式であり、企業はこの流れにどのように対応していくのかが今後のマーケティングにおいて重要なカギとなります。
未来への展望
今後の生活者の変化を予測するにあたり、博報堂行動デザイン研究所は、情報過多や不信感が増していく中で、企業は信頼を勝ち取るために付加価値を持った情報が求められることを示唆しています。特に、主体的に情報を吟味する生活者をどうサポートしていくかが重要になります。情報量の増加に伴う不安を解消するために、安心・安全を提供する商品やサービスが求められることが予想されます。
このように、生活者の行動と欲求の変化を捉えた「行動デザイン予報2025」は、今後のマーケティング戦略において欠かせない視点と言えます。博報堂行動デザイン研究所は、こうした調査を通じて、常に進化する生活者のニーズに応じたソリューションを提供していく方針を示しています。