最近、若者の間で「応援広告」という新たな文化が広がりつつあります。これは、自分が応援しているアーティストや「推し」に対して、ファン自身が広告を出すというものであり、独自の広がりを見せています。これらの情報は、2025年に実施された「応援広告に関する実態調査」から得たものです。
応援広告の背景
応援広告は、アーティストへの応援発信プラットフォーム「CheerSPOT™」を運営する株式会社INFORICHが注目しているトピックで、推し活市場の拡大によってその重要性が増しています。調査結果によると、国内の15〜59歳の男女約1万人のうち、38.9%が「推し」がいると答え、その中の97.1%が何らかの推し活を行っていることが分かりました。
この推し活文化は特に若年層に支持されており、15〜19歳の女性に至っては80.6%が推しを持つと回答しています。つまり、応援広告はただの流行にとどまらず、日常の一部として浸透しているのです。
応援広告の市場拡大
今後、応援広告を掲げる経験者は35万人から143万人にまで増加するとの見通しが立てられています。この結果、応援広告市場の規模も1200億円を超えるとされており、今後さらに根付くカルチャーになると期待されています。
調査によれば、推し活を行うファンの中で「応援広告を出す」と回答したのは1.6%という少数派でしたが、今後実施したいと答えたのは5.1%に増加しました。これは、現在の認知率が約10%であることから、今後の広まりに期待が高まっていることを示しています。
応援広告の支出
実際に応援広告を経験した人たちは、年間8万円ほど多く支出しているという結果が出ました。推し活全体に費やす金額は応援広告経験者が約24万円、未経験者が約16万円という差が出たことから、応援広告経験者は消費意欲が高いことが伺えます。中でも直近の応援広告の平均支出は約2万4000円に達しており、特に30代女性の出費が目立っているのが特徴です。
出稿方法の多様化
調査では、応援広告の出稿方法を聞いたところ、83%が「他のファンと共同で出した」と回答しました。特に女性の方が共同出稿の割合が高いことが分かりました。一方で、金銭的な問題がなければ「個人で出したい」と答えた人は57.3%に達し、広告出稿の方法に多様性が生まれている傾向が見逃せません。
課題と今後の展望
一方で、応援広告を出さなかった人にその理由を尋ねたところ、「費用が高いから」と答えた人が41.6%に達し、次いで「手続きが面倒そうだから」という回答が続きました。今後の市場の成長には、これらの障壁を取り除く工夫が必要不可欠です。また、広告を出さなかった理由に男女差が見られ、男性は特に「デザインが難しそう」と感じる傾向があるなど、心理的な面にも考慮が求められます。
これらの調査結果から、個人による応援広告が新たな文化となり、より多様な形でファン活動が展開されることが期待されます。応援広告の広がりは、企業や広告・マーケティング業界にも大きな影響を及ぼすことでしょう。
今後もファン自身の手による広告が成長し、より多くの人々に熱意のある「推し活」の場を提供することで、市場が活性化していくことに期待が寄せられているのです。