兼松とdsm-firmenichの協業によるメタン削減の取り組み
兼松株式会社とdsm-firmenich AGは、牛のメタンガスの排出を削減するための新しい取り組みを始めました。最近締結した基本合意書に基づき、dsm-firmenichが提供する飼料添加物Bovaer®を活用し、畜産品のサプライチェーンにおける環境負荷の低減を目指しています。
畜産品の重要性と温室効果ガスの関連
日本では、牛肉や豚肉、鶏肉を含む食肉が食生活の中で広く消費されており、その割合は全体の6割に達します。また、鶏卵や乳製品も消費されており、畜産物は日本人にとって欠かせない存在です。しかし、牛や他の反芻動物が排出するメタンガスは、温室効果ガスの重要な排出源であり、特に農林水産業の中で重要な問題です。日本国内でのメタン排出の第二の原因であり、全世界の温室効果ガス排出量の約5%を占めています。そのため、畜産業の環境への影響を低減する必要があります。
Bovaer®(ボベアー®)について
Bovaer®は、牛の飼料に加えることで消化管からのメタン排出を削減できるサプリメントです。牛乳や牛肉の風味や品質を保ちながらも、環境への影響を軽減する役割を果たします。日々の給与が推奨されており、乳牛では平均30%、肉牛では平均45%のメタンガスが削減できることが研究結果からわかっています。この製品は、70カ国以上で商業的に使用されており、すでに約40万トンのメタン排出を相当量削減しています。
共同の取り組みと目指すべき未来
この協業では、Bovaer®を飼料として生産者に提供するだけでなく、そのメタン削減効果を環境価値化し、川下企業に提供することで、持続可能なサプライチェーンの構築を図ることが目指されています。この取り組みにより、気候変動に対する対応を強化するとともに、サプライチェーンパートナーとの関係を深化させ、より持続可能な生産体制を確立します。
特に「カーボンインセット」という仕組みにより、企業内でメタン削減の環境価値を取り込むことを促進します。これにより、消費者に対しても環境への配慮が感じられる畜産品を提供することが可能となります。さらに、兼松は農業・食品分野において、多くの企業と協力し、持続可能なビジネスモデルを推進してきました。
dsm-firmenichの企業情報
dsm-firmenichは、栄養、健康、美容において重要な役割を果たす世界中の企業で、持続可能性を重視した事業展開を行っています。スイスに本社を構え、約60カ国で運営しています。彼らは自然由来の素材を用いて、持続可能な価値を提供し、実績のある科学技術力を強みとしています。
このような取り組みは、地球環境への負荷を低減し、私たちの食生活をより持続可能にするための重要な一歩です。両社が手を取り合うことで、将来の畜産業の在り方に大きな変化をもたらすことが期待されます。