酉島伝法の初長編『宿借りの星』文庫版刊行
日本のSF作家、酉島伝法(とりしま・でんぽう)の初の長編小説『宿借りの星』が、創元SF文庫からついに文庫版として刊行されました。2019年の初回発表以来、多くの読者を魅了してきた本作は、その独特な世界観や造語、緻密な挿絵により高評価を得ており、今回の文庫化はSFファンにとって待望のニュースです。
物語の概要
物語の主人公、マガンダラは幼馴染を手にかけたことによって故国を追放され、流刑の身となります。彼は過酷な環境の中、飢えと渇きに苦しみながら旅を続けていると、捕食対象である異種族マナーゾと出会います。初めは敵同士であるはずの二人ですが、運命的な出会いを果たし、共に旅をすることになります。
彼らの旅の中で、マガンダラとマナーゾは、この惑星の運命を脅かす恐ろしい陰謀を目の当たりにします。異種族との絆を深め、共同の目的を持つことで、彼らはどのようにその陰謀と立ち向かっていくのかが、物語の大きな見どころです。
特別な文庫版
文庫版では、特に挿絵に注目してほしいです。酉島さん自身が手掛けた50点のアップデートされた挿絵は、読者が物語の情景を思い描く手助けをしてくれます。また、巻末特典としてすべての種族に関するイラストも収められており、SFの世界に引き込まれる要素が更に強化されています。
装画も酉島さんが担当しており、そのアートワークは物語の雰囲気を一層引き立てています。新たに手に入れる文庫版では、彼の独自の視点を感じながら、物語をより一層楽しめることでしょう。
著者について
酉島伝法は1970年に大阪府に生まれました。彼の作家デビューは2011年の短編集『皆勤の徒』で、これにより第2回創元SF短編賞を受賞し、その名が広まりました。その後も短編や長編を発表し続け、特に2020年に刊行された『宿借りの星』で第40回日本SF大賞を受賞するなど、国内外で評価の高い作家とされています。 最近では、英訳版や仏訳版も登場し、多様な読者層に支持されています。
酉島さんの作品は単なるエンターテイメントにとどまらず、深遠なテーマや独自の世界観を通して、読者に思索を促す力を持っています。
おわりに
酉島伝法の『宿借りの星』文庫版は、9月28日に発売されます。この一冊は、異種族たちの壮大な冒険を通じて、私たちに大切なメッセージを届けてくれることでしょう。読むことをお勧めします。どうぞ手に取って、その魅力に触れてみてください。