MetComの3D測位インフラ構築に向けた資金調達
MetCom株式会社(東京都港区、代表取締役:近義起)は、次世代の3D測位、航法、時刻(PNT)サービスの提供を目指して、総額約10億円の資金調達を行い、そのうち8.5億円の出資受入を完了したことを発表しました。この資金は、国の社会基盤を支えるため、日本初の地上波方式による3D PNTインフラの構築に利用されます。
背景と目的
現代社会では、GPSをはじめとする衛星測位システム(GNSS)の依存が深化しています。交通や通信、電力、金融、防衛に至る広範な分野は、これらの位置情報に頼っています。しかし、その一方で、衛星信号は高層ビルの谷間や屋内では受信が難しく、妨害(ジャミング)やなりすまし(スプーフィング)、さらには自然現象による影響が問題となっています。
特に近年は、世界的な軍事紛争が頻発しており、GNSSへの依存が社会の安定性を脅かすことが明らかになっています。日本では、GNSS障害による経済的損失は1日あたり数百億円にのぼると推定されています。このような課題に対処するため、MetComは新たな地上波PNTシステムの構築に取り組んでいます。
新たな地上波3D PNTシステム
MetComが開発中の地上波PNTシステムは、GNSSに比べて最大10万倍の受信強度を持ち、米国運輸省による代替PNT技術評価でも高い評価を得ています。これにより、屋内外を問わず、シームレスかつ高精度な三次元測位を実現することができます。
さらに、2024年には国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協力により、準天頂衛星「みちびき」との連携も開始されます。これによって、セキュリティを高め、センチメートル級の精度を持つシステムの実現が期待されています。
参加企業と出資者の声
既存株主のDRONE FUNDや新規投資家である株式会社アイティフォー、株式会社ゼンリンフューチャーパートナーズから合計8.5億円を出資いただいたことについて、彼らはそれぞれのコメントを寄せています。
- - DRONE FUND: 「ドローンやエアモビリティの未来社会に向けて、セキュアな三次元位置測位技術が必要不可欠です。」
- - 株式会社アイティフォー: 「私たちの取り組みは、地域課題を解決するDXを進める中で重要な役割を果たします。」
- - 株式会社ゼンリンフューチャーパートナーズ: 「MetComの高度な測位技術には大いに期待しています。」
この資金調達により、MetComはこれまでの累積調達額が約22億円となり、地上波PNTシステムの構築に向けた基盤をさらに強化し続けていく方針です。
まとめ
MetComの地上波3D測位インフラは、社会の安全を左右する重要な役割を担うことが期待されています。今後の実運用開始に向けて、技術の実証とインフラ整備が進められ、誰もが安心して暮らせる社会の実現に貢献していくでしょう。