フリーランス新法施行から1年、IT業界が変革を遂げた実態を探る

フリーランス新法施行から1年、IT業界が変わる

2024年11月、フリーランス・事業者間取引適正化等法（通称：フリーランス新法）が施行されてから約1年が経過しました。この法律の目的は、フリーランスの権利を保護し、取引の適正化を図ることにあります。レバテック株式会社が行った調査によると、ITフリーランスを利用する企業の約80%が、新法施行後に契約や運用を見直したと答えています。

契約や運用の改善に取り組む企業

調査結果によれば、具体的な改善策としては「契約書・発注書の雛形見直し（85.3%）」や「口頭やメールでの発注廃止（48.8%）」が挙げられます。IT業界は他の業界に比べ、契約書類の整備が早く進んでいたものの、より透明性と適正化を求められる中で、特に発注企業（資本金1,000万円以下）も新法に従った見直しを進めています。

契約手続きの負担増も見逃せない

一方で、新法施行後に約4割の企業が契約手続きの負担増を感じています。その原因の多くは、「契約締結にかかる時間が増えた（60.5%）」や「フリーランスとの交渉が複雑になった（60.1%）」という声です。これまで口頭で済んでいた契約の文書化が求められる中で、多くの企業が実務的な負担増を実感しています。しかし、実際には発注を控える動きは目立たず、44.9%の企業が「特に検討していない」と回答。

フリーランス活用の期待感は高い

今後のフリーランス活用については、42.1%が「活用の機会を増やしたい」と考えており、48.9%の企業が「現状を維持したい」と回答しました。これは、ITフリーランスに対する期待が非常に高いことを示しています。理由としては「即戦力として短期間でプロジェクトを推進できる（71.7%）」や「専門スキルを補える（62.2%）」が挙げられ、特に即戦力と専門性が企業から重視されています。

［社長コメント］法律施行からの現状

レバテック株式会社の社長、泉澤匡寛氏は「フリーランス新法施行から約1年が経過し、多くの企業で取引の適正化や就業環境の整備が進んでいます。しかし、企業側では契約関連業務の負担が増加しており、新たな課題として契約交渉の複雑化が挙げられます」とコメントしています。

彼は、DX推進や生成AIの普及に伴い、フリーランスの活躍の場は一層広がると予測。制度的・技術的支援の重要性も増すと強調しています。これにより、企業は契約書や発注プロセスを見直し、実務負担を軽減しつつもフリーランスの活用を進める必要があるといいます。