学習塾の経営危機が深刻化
近年、学習塾業界における倒産件数が激増しています。2025年の1月から9月にかけて、倒産した学習塾は37件に達し、これは同期間としては過去最高の数字です。この倒産の増加傾向は、少子化や激しい競争が影響していると指摘されています。また、都市部の中小企業が特に大きな打撃を受けていることも重要なポイントです。
倒産の内訳
今年の倒産件数は、負債が1000万円以上の法的整理によるものが対象であり、その中でも多くは1億円未満の小規模な事業者です。具体的には、35件がこのカテゴリに分類されます。特に、大きな負債を抱えた事例もいくつかあり、予備校のフランチャイズを展開していた(株)CS管理会社が約7億円を超える負債を抱えて特別清算に追い込まれました。また、大学受験予備校「ニチガク」を運営していた(株)日本学力振興会も1億7100万円で破産しています。このような大きな負債を抱える倒産は、学習塾業界の厳しさを象徴しています。
都市部の現状
倒産件数が最も多いのは東京都で10件、大阪府も7件と続いています。これらの都市部では、少子化に伴い競争が激化しており、特に中小業者にとって経営が困難になっています。さらに、コロナ禍以降、オンライン授業が普及し、その専業者が台頭しているため、従来型の学習塾は生徒獲得に苦しむ状況です。業界団体の役員は、長年経営を続けてきた塾も、デジタル化に投資する必要に迫られ、それが結果的に負債を増やす要因となっていると話しています。
競争の激化と人口の減少
2010年代から学習塾は概ね増加傾向にありましたが、コロナ禍による支援策で一時的に倒産が減少しました。しかし、少子化は一層進行しており、主要な学習塾の利用層である6歳から18歳の人口は、2019年の約1405万人から2024年には約1336万人にまで減少する見込みです。このような中で、各塾は生徒を獲得するための競争がより厳しくなっていくと考えられています。
地方と都市部の違い
地方においては、地域に根ざした強固な基盤を持つ事業者が存在するため、身の丈に合った経営を継続することができる場合があります。しかし、大都市圏では多くの大手企業がひしめき、資金力の乏しい中小業者が収益を確保することは極めて厳しい状況にあると言えます。このため、倒産件数は今後もしばらく増加する予測が立てられています。
今後の展望
学習塾業界は、少子化や競争環境の変化に直面しており、経営において新たな戦略を見出す必要があります。収益の安定化を図るためにはデジタル化だけでなく、地域密着型のサービスの充実も求められています。経営者は時代の変化に敏感に反応し、新しいビジネスモデルを構築することが求められている年代に突入していると言えるでしょう。