西中千人が生み出す「龍村ガラス呼継」とは？五代龍村平藏に捧げる美の挑戦

西中千人と五代龍村平藏のコラボレーション

2023年、著名なガラス造形作家西中千人が、新たに五代龍村平藏の襲名を記念する美しい作品「龍村ガラス呼継」を発表しました。この展覧会では、過去の伝統を受け継ぎながらも、独自の美学を追求した作品たちが登場しています。その中心となるテーマは「和の躍動、和の解放」です。歴代の龍村平藏からインスパイアされた織り文様を取り入れ、全10点の作品を発表しています。

「ガラス呼継」の美意識

西中千人が創り出した「ガラス呼継」は、伝統的な金継ぎの美学に基づき、欠点を魅力へと昇華させる新しい形のガラス芸術です。彼はガラスのひび割れを“命の限りある象徴”として捉え、壊れた作品を再びつなぎ直すことで、生命の煌めきや再生を表現しています。この独特なアプローチは、国内外のさまざまな博物館で高く評価されており、イギリスのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館などに所蔵されています。

龍村美術織物の伝統

五代龍村平藏が代表を務める龍村美術織物は、1894年に創業され、伝統的な織物が持つ美を一層引き立てる作品を生み出し続けています。非常に高品質の技術と独自の美意識によって、彼らは単なる工芸品ではなく、文化財とされる美術品を制作しています。今回の襲名を経て、代表取締役社長である龍村育氏が新たに五代平藏として活動していくことになります。

コラボレーションの歴史

西中千人と龍村美術織物との関係は、2013年の展示会での出会いから始まりました。この時のトークセッションで、西中は四代平藏氏の作品に感銘を受け、自らの創作活動に大きな影響を受けたと語っています。また、2020年には「龍村呼継」として、龍村美術織物の裂を用いた作品を完成させ、伝統技術と現代的な解釈の融合を実現させました。

2024年には五代平藏氏との新たなトークセッションを予定しており、時代を超えて愛される作品づくりにさらなる挑戦が期待されています。これらの試みは、伝統を受け継ぎつつ、革新を追求するという理念のもとで進められているのです。

今後の展覧会スケジュール

- 2024年10月30日-11月4日: 山陽百貨店（姫路）
- 2025年3月15日-20日: アートフェア TEFAF（マーストリヒト、オランダ）
- 4月9日-14日: 岡山高島屋美術画廊
- 5月21日-27日: ジェイアール名古屋高島屋美術画廊
- 6月18日-23日: 日本橋高島屋美術画廊
- 12月11日-17日: トキハ百貨店（大分）

これらの展覧会では、各種作品の展示に加え、訪問者を魅了するトークやワークショップも予定されています。これらの新しい試みから、さらに多くの人々に日本の美と伝統が広がればと思います。

西中千人は、創作活動を通じて文化の未来へのおつなぎを目指しており、変わらぬ魅力を持つ作品たちが数多くの人に愛されることを願っています。