フォーミュラEとGoogle Cloud、視覚障がい者支援の新たな取り組み
2023年7月9日に発表されたこのプロジェクトは、フォーミュラEと公式クラウドパートナーであるGoogle Cloudが共同で開発する音声レースレポートポッドキャストに関するもので、視覚に障がいがあるファンもレースを楽しむことができるようになります。この取り組みは、ロンドンで開催されたGoogle CloudサミットでフォーミュラEのCEO、ジェフ・ドッズによって発表されました。
プロジェクトの概要
この音声レポートは、AIを駆使して各E-Prixのレースを詳細に振り返る内容です。レース後に迅速に配信されるため、ファンはその熱い瞬間を臨場感あふれる形で楽しむことができます。特に、視覚障がい者向けに設計されたコンテンツであるため、情報の提供に大きな配慮が行われています。
このプロジェクトの発端は、2024年ロンドンE-Prixの期間中に開催されたGoogle Cloud主催のハッカソンです。現在は英国内の視覚に障がいのある人への支援を行うRNIBと連携しながら進行中で、実際にそのニーズに基づいた内容が設計されています。
技術の仕組み
この音声レポートの制作は、Google CloudのAIプラットフォーム「Vertex AI」を活用し、以下のステップで行われます。
1.
音声の文字起こし: Googleの音声認識モデル「Chirp」が、ライブ実況を高精度に文字に起こします。
2.
データ分析と要約生成: Googleの生成AI「Gemini」が、実況に加え、ライブデータや公式レース情報を解析。その結果、重要な展開を抽出して魅力的なレース要約を生成します。
3.
音声変換: 最後に、テキストが高度なテキスト読み上げ技術(TTS)を用いて自然で表現豊かな音声に変換されます。このプロセスはレース終了後、数分で完了し、Spotifyなどのプラットフォームで配信される予定です。
多言語提供
音声レポートは、英語を含め15以上の言語で提供されます。これにより、世界中のフォーミュラEファンが自分の言語で楽しむことが可能になります。
コメント
プロジェクト発表に際し、フォーミュラEのCEOジェフ・ドッズは「このプロジェクトは、技術の力を使ってエレクトリックレースをより多くの人に届ける新しい方法です」と述べました。また、Google Cloudのジョン・エイベル氏も「モータースポーツは視覚に優れた特性が強調されるため、視覚障がいのあるファンには高い壁が存在しました。このAI技術が、その壁を打破し、フォーミュラEの魅力を伝える手助けになります」と語りました。
このように、フォーミュラEとGoogle Cloudが手を組むことで、視覚障がい者もモータースポーツの感動を共有できる新たな道が開かれます。これらの取り組みが、益々多様性に富んだスポーツを実現する一助となることが期待されます。