摂南大学の研究が明らかにしたサワガニのマーケット
摂南大学の農学部応用生物科学科において、講師である國島大河氏が進めた研究が、サワガニのオンライン取引において体色がどのように販売戦略や採集圧に影響を与えているかを解明しました。この研究は、近年急増しているインターネットを介した生体取引が野生生物の採集圧や絶滅リスクを高める懸念の中で行われました。
研究の背景
サワガニはペットや食用としての需要が高い小型甲殻類であり、多様な体色を持つことが知られています。特に茶色型、赤色型、青色型に区分され、その体色は市場価値に直接反映されます。希少な体色タイプは需要が高く、特定の集団が過剰に採集されるリスクがあるため、野生生物の保全の観点から非常に重要な問題です。
オンライン取引のデータ解析
研究では、2013年から2023年までの間に日本の主要なオークションサイトで取引されたサワガニの生体数を解析しました。その結果、44,000個体以上が売買され、茶色型のサワガニが大量かつ低単価で取引される一方で、赤色型や青色型は少量で高単価に設定される販売戦略が取られていました。
販売戦略の違い
- - 薄利多売戦略: 茶色型と混合型が該当し、大量販売が行われていて一回の取引当たりの個体単価は低い。
- - 厚利少売戦略: 赤色型、青色型、その他の個体が該当し、取引ごとの個体単価は高く、販売数が限られています。
この違いは、体色タイプの地理的分布にも関連しており、体色による採集圧の地域差も生じています。
採集圧と生態系への影響
結果として、体色の多様性は採集圧に地域差をもたらし、過度な採集が特定の色彩タイプに集中する懸念が生じます。特に、茶色型は広範囲に分布するため採集圧が高まっている一方で、赤色型や青色型は特定地域に限られるため、相対的に採集圧が低く保たれています。しかし、過剰採集が続くと生態系に悪影響を及ぼす恐れがあります。
研究の意義
この研究は、身体の色がどのように取引戦略に影響を与えるか、またそれが野生生物の採集圧にどのように関わっているのかを実証的に示しています。特に、販路の中でサワガニがどれほどの影響を受けているかは、保全施策を考える上で非常に参考になります。
今後のさらなる研究では、サワガニの需要や体色タイプの関係を解明し、より良い保全対策を打ち出すことが期待されています。