三菱重工業が新たなCO2回収モジュールの初期検討を開始
三菱重工業が、ブラジルの大手石油企業ペトロブラス社の浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)向けに、CO2回収モジュールの初期検討を受注しました。このプロジェクトは、海洋インフラの専門知識を持つSBMオフショアとのパートナーシップを背景に展開されており、独自のCO2回収技術が新たな分野に応用されることに期待が寄せられています。
CO2回収モジュールの特長
今回のCO2回収モジュールは、三菱重工業が関西電力株式会社と共同開発した「Advanced KM CDR Process(TM)」という技術と、SBMオフショアの「Fast4Ward®」プログラムを融合させたものです。このモジュールは、ペトロブラス社が計画するFPSOに搭載されるガスタービンからCO2を回収することを目指して初期検討されており、将来的な商用化を見据えた分析も進められています。
経済と環境の両立を目指して
三菱重工業は2023年9月にSBMオフショアと商用化に向けた協業契約を締結しており、今回の受注はその契約に基づくものです。世界的に脱炭素化のニーズが高まる中、同社は海洋CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)の事業開発を加速させる考えです。この協業を通じて、グローバルなカーボンニュートラルの実現にも寄与する意向で、今後の展開が注目されています。
カーボンニュートラルの宣言
三菱重工グループは2040年までのカーボンニュートラル達成を宣言し、エネルギーの需要側と供給側の両方で脱炭素化に向けた戦略的アプローチを取っています。その中でも、エネルギー供給側の脱炭素戦略としてCCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)バリューチェーンの構築が重要な柱となっています。
CO2回収技術の実績
三菱重工業グループは、1990年から関西電力とともにCO2回収技術に関する研究を進め、多くの実績を上げています。2025年時点で、これらの技術を活用したプラントは18基納入されており、今後もさらなる技術革新が期待されています。特に「Advanced KM CDR Process(TM)」は、アミン吸収液「KS-1(TM)」の改良版「KS-21(TM)」を使用しており、省エネルギー性能と運用コストの低減に成功しています。
未来に向けた積極的な取り組み
独自の技術を活かし、三菱重工業は温室効果ガスの排出削減を全世界的な視点で進める取り組みを強化しています。環境保護を目的としたソリューションの開発を続け、この分野でリーダーシップを発揮することを目指しています。新たに導入されるCO2回収モジュールが、これらの取り組みにどのように寄与するのか、引き続き展開に注目が集まっています。
参考リンク
※1 FPSOについて
FPSO(Floating Production, Storage and Offloading System)は、洋上での石油・ガス生産、貯蔵、積出を行うための浮体式設備の一種です。
※2 Fast4Ward®について
Fast4Ward®は、SBMオフショアが開発したFPSOの標準船型を用いて、石油・ガスの掘削から供給までのプロセスを効率化し、サイクルタイムを短縮することを目指しています。
※3 協業詳細
SBMオフショアとの協業に関する詳しい内容は
こちらからご覧いただけます。