3Dプリンターを用いたウクライナ復興への第一歩
セレンディクス株式会社は、国際連合工業開発機関(UNIDO)の支援のもと、ウクライナで3Dプリンターを用いた建築プロジェクトのフィージビリティスタディを開始しました。本プロジェクトは、ウクライナの建築法規や環境条件、インフラ状況などを検証することを目的としており、将来的な建築プロジェクトの実現に向けた重要なステップとなることでしょう。
このフィージビリティスタディは、2026年3月までの期間内に行われ、技術的・制度的な観点から現地での適用可能性を探ります。同社は2024年、ウクライナのグリーン産業復興プログラムの一環として、多国籍の技術移転を通じて、この地域の復興を支援します。過去には「日・ウクライナ経済復興推進会議」に参加し、ウクライナの建築会社と協定を結ぶなど、具現化に向けての活動を行ってきました。
プロジェクトの背景
ウクライナでは、戦争によって250万世帯以上が住居を失い、全住宅の13%が損傷または破壊される影響を受けています。このような厳しい状況下で、セレンディクスはデジタル技術を用いた復興支援を目指しています。プロジェクトでは、現地の3Dプリンター企業や施工会社との技術面での連携を強化し、データ共有や出力精度の確認を行います。これにより、デジタル技術を駆使した効率的な住宅建築を実現することを目指しています。
新たな建築手法とサプライチェーンの構築
このプロジェクトは、単なる建物の建設に留まらず、デジタルデータを活用した革新的な建築手法の確立を目指しています。3Dプリンターの出力と現地施工を分離することで、世界中のどこでも高品質な住宅を迅速に建設可能な新しい仕組みを検証します。また、タイの素材大手SCGと連携し、3Dプリンター専用モルタルの開発にも力を入れます。これにより、国際的なサプライチェーンの構築を視野に入れ、安定した素材供給体制を整える計画も進めています。
コメンテータの言葉
セレンディクスのCOO、飯田國大氏は「ウクライナでの戦争被害に遭った方々に心からお見舞い申し上げます。私たちは、2022年に行った国際的な試験を基に、デジタル建築の新たな可能性を広げていきたいと考えています。特に、データを無限に活用することで、迅速かつ効率的に高品質な建物を建設できる未来を実現を目指しています」と話しています。
セレンディクスの未来
セレンディクス株式会社は、2018年に設立された日本初の3Dプリンター住宅メーカーであり、2024年には石川県珠洲市に第1号棟を建設予定です。また、ウクライナ復興プロジェクトや新たな駅舎の建設など、多様なプロジェクトに取り組んでいます。会社の理念は、テクノロジーをもって未来を築き、希望を持てる世界を創造することです。
政府や民間企業と連携しながら、ウクライナの復興に貢献するため、セレンディクスは引き続き努力を重ねていくことでしょう。