1on1面談の成功の秘訣をAIで探る新たな試みとは？

はじめに

管理職やリーダー層にとって、部下との1on1面談は重要なコミュニケーションの一環です。しかし、成功する1on1とそうでないものの違いを理解するための指針は実は乏しいのが現実です。このような課題に取り組むべく、コグニティ株式会社が新たに始めた「1on1解体新書」というシリーズを紹介します。

1. コグニティの取り組み

コグニティは、定性データの定量化を通じて組織解析を行う企業として知られています。これまでにも「政論解体新書」や「営業解体新書」といったさまざまなシリーズを通じ、AIを用いた分析によってコミュニケーションの可視化を進めてきました。「1on1解体新書」はその延長線上に位置し、1on1やコーチングに特化した内容の全12回シリーズです。

この取り組みは、1000件以上の面談データをもとに成功の「型」を抽出し、実用的な知見を得ることを目指しています。分析結果を動画として公開し、視聴者が手軽に学べる環境を提供しています。

2. 従来の1on1面談の課題

従来の1on1は、経験則や感覚に基づく部分が多く、再現性に乏しいという声が多いです。具体的には、従来の研修やマニュアルでは「良い傾聴」とは何かを主観的に指導されることが多く、実際の場面での成果に結びつかないことが多くありました。

コグニティは、こうした課題を克服するために、独自に開発した「CogStructure」と呼ばれる解析ツールを使用しています。このツールは、話の流れや質問・承認・ストーリー展開を構造的に数値化することができ、より深いレベルでの分析が可能となります。

3. 実際の事例

第1回：五十嵐久氏のコーチングの分析

第1回動画では、著名なコーチである五十嵐久氏の1on1をテーマにしています。彼のアプローチは、わずか9分間でオープン質問を9回行い、相手の思考を深化させる技術が際立っています。特に、2分に1回の頻度で「オウム返し」を行うことで相手に安心感を提供し、信頼関係を強化しています。

第2回：木下華奈子氏のキャリア談話

続いて第2回では、「キャリパッ」の代表コーチである木下華奈子氏の面談が取り上げられました。彼女は、相手に多くの言葉を発言させる傾聴姿勢を持っており、沈黙を恐れずに対話を進めていきます。このアプローチによって、対話の質が高まり、より長文での回答が得られることが確認されました。

4. パネルディスカッションの重要性

番組後半では、コーチや分析者が共に1on1の実務への応用について検討しました。「上司と部下といったパートナーシップ」を持つことが成否を分けるポイントであり、また、組織が1on1の目的を明示して指導プログラムに落とし込むことの重要性も再確認されました。

5. 将来の展望と幅広い応用

今後も「1on1解体新書」は、キャリア面談から営業場面まで、多様なニーズに応じた内容を展開予定です。コグニティの技術を活用することで、業界や役職に応じた柔軟なアプローチを提案し、コミュニケーションの質を向上させることができるでしょう。

また、この知見は製造業やIT、教育などの分野にも広く展開されており、組織の生産性向上に貢献しています。コグニティは「人が人に伝える構造」を科学することで、日々のビジネスコミュニケーションをより自然で効果的なものに進化させています。

これからも、動画やパネルディスカッションを通じて、具体的なスキルを提供していく予定です。これにより、より多くの人が有意義な1on1面談を実施し、各自の成長を促進することを目指します。