MiRESSO、シリーズAラウンドで追加出資
核融合発電の未来を切り開くスタートアップ、株式会社MiRESSOがシリーズAラウンドでさらなる出資を受けました。新たに、株式会社ジェネシア・ベンチャーズが運用するGenesia Venture Fund 3号からの追加資金が調達され、出資者としてはSpiral Capitalと大平洋金属株式会社も名を連ねています。
核融合発電のキーとなるベリリウム
近年、核融合技術の発展が世界的に加速していますが、その背景には根本的なエネルギー問題の解決があります。その中で、核融合発電に不可欠な材料であるベリリウムの安定供給が大きな課題とされています。現在、ベリリウムの生産はコストが高く、供給量も不足しているため、社会実装の妨げとなっています。
MiRESSOが開発した低温精製技術は、これまで高温処理が必要とされていた鉱物資源の精製を、より低コストかつエネルギー効率の良い方法で行うことを可能にします。この技術を活用することで、核融合発電の実用化が近づき、エネルギーと環境問題の同時解決が期待されます。
低温精製技術がもたらす環境への影響
MiRESSOでは、低温・常圧・低CO2排出を特徴とする精製技術を導入しており、これはベリリウムだけでなく、他のレアメタルにも応用が可能です。この技術によって、エネルギー消費を抑えながらも環境への負荷を軽減することができるため、カーボンニュートラル社会の実現にも寄与することが見込まれています。
さらに、著しく効率的な資源運用が実現されることで、日本国内の重要資源の安定供給が可能になり、海外からの金属資源の依存度を低下させることも期待されています。
MiRESSOの事業と今後の展望
MiRESSOは、ベリリウムの製造販売事業と、同技術を基盤にした技術プラットフォーム事業を展開しており、これからも新たな精製プロセスの提案や技術ライセンスの提供を行う予定です。
今回調達した資金は、青森県八戸市にある大平洋金属株式会社と連携して進めるパイロットプラント「BETA」の建設に活用されます。このプラントにより、2027年度中にベリリウムの生産を開始することを目指しており、またこの研究と開発の結果が市場にもたらす影響は計り知れません。
未来を見据えた挑戦
MiRESSOは、量子科学技術研究開発機構(QST)の知見に基づいて設立された若い企業ですが、その革新的なアプローチと技術力に対して高い期待が寄せられています。ジェネシア・ベンチャーズのInvestment Manager曽我部崇氏は、MiRESSOのチームを高く評価し、今後もサポートを続ける意向を示しています。
2050年までに100兆円規模の市場が想定される核融合発電分野で、MiRESSOの挑戦がどのように展開していくのか、今後の動向が注目されます。