日阪製作所が新たに開発した省エネ加熱殺菌装置の全貌とは

株式会社日阪製作所が新たに発表した超省エネ型の加熱殺菌・滅菌装置は、同社のイノベーションの象徴といえます。この装置の登場により、蒸気使用量を最大50%も削減できることが実現されました。これは特にレトルト食品や医薬品の製造において、効率とエネルギーの無駄を省くことに寄与しています。

加熱殺菌の工程では、従来の方式では加熱後に発生する熱エネルギーが、そのまま冷却されて失われていました。しかし、新開発の装置では、この熱エネルギーが次の殺菌プロセスに再利用される仕組みが取られています。この革新により、従来の装置と比較して設備の効率化が図られ、工場の蒸気負荷も大幅に軽減されるのです。

装置の基本構成には、製品を装填する処理槽、加熱後の温水を回収するタンク、そして予冷後の水を回収するタンクが含まれています。これらのタンクが効率よく熱を蓄熱し、次工程に生かされるため、蒸気使用量の大幅な削減が可能となりました。具体的には、加熱後の水（約120℃）と製品予冷後の水（約90℃）をそれぞれのタンクで回収し、これを再利用することで、無駄を省いています。

この新型装置は、SII（Sustainable open Innovation Initiative）、つまり新しいエネルギーの投資を推進するための事業の一環として、補助金の対象となる「指定設備」として認定されており、企業の省エネルギーや脱炭素化への取り組みを支援しています。このような取り組みは、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて不可欠な要素であり、日阪製作所はその一翼を担うことを目指しています。

今後は、省エネルギーの観点からも、より多くの顧客に対してこの超省エネ型装置を提案していく方針を明言しています。企業の持続可能な成長を支えるためには、単なるコストダウンだけでなく、環境への配慮も求められる時代です。日阪製作所の新技術は、まさしくその時代に応えるものといえるでしょう。

この装置の導入によるエネルギーコストの削減が期待されるため、小規模な工場でも採用が進むことが見込まれています。最終的には、全体の受注の30%以上でこの新型装置を採用してもらうことを目標に掲げており、将来的には製造業界全体に影響を及ぼす大きな変革の一端を担うことを目指しています。

環境に優しく、かつ効率的な生産を実現する日阪製作所の超省エネ型装置は、業界全体を見渡してもその重要性を増しています。今後の普及に期待が寄せられるこの技術が、どのように私たちの生活やビジネスに影響を与えるのか、注目していきたいところです。