伝統産業の再起動を探る
日本の地方文化が、今、重要な岐路に立っています。特に高齢化や後継者不足、市場縮小といった問題は、長年続く伝統産業を脅かしています。そんな状況下で、京都北部・丹後地方の織物加工業を継いだクスカ株式会社の代表、楠 泰彦氏は、家業の再生に挑んできました。
楠氏の挑戦
かつて楠氏の父は「継がなくていい」と言っていましたが、彼はそれに反発し、家業の舵を自ら握る決断を下しました。当時の家業は完全な“下請け”構造にあり、制約が多かった中、楠氏は「継ぐ」というだけではなく、「創る」という考えをもって自らのブランド「KUSKA」を立ち上げました。伝統素材である丹後ちりめんの独自の魅力を世界へ発信するため、彼は自社のブランドをゼロから始め、販路の開拓に努めたのです。
言葉にしにくい葛藤
楠氏が事業承継に踏み切ったのは平成の時代。この時代、「アトツギ支援」や「家業イノベーション」といった言葉はほとんど知られていませんでした。多くの人々が「引き継ぐ」選択をする中、彼は「つくり直す」という勇気を持ち続け、そこから数々の課題に取り組んできました。このような苦労や葛藤を聞くことができるのが、現在開催される「伝統産業に風穴を。カルチャープレナーの挑戦」のトークセッションです。
トークセッションの魅力
このトークセッションは、事業承継に関連するさまざまな課題を取り上げ、その中で楠氏がどのように自らの手で伝統や文化の価値を再構築してきたかを共有します。特に注目すべきポイントは、下請けからの脱却、ブランド経営へのシフト、伝統技術と現代デザインの融合による新たな市場開拓など、空白の時代を経て彼がどのように自身のビジネスを進化させてきたかです。参加者は、これらの具体的な事例を通じて、家業を未来につなぐためのヒントと勇気を手に入れることができます。
開催概要
トークセッションは令和7年11月19日(水)の14:00から16:00まで、京都経済センター内にて行われます。受講料は無料で、定員は50名。興味のある方はぜひ参加をご検討ください。手続きについての詳細は、京都商工会議所のウェブサイトをご覧ください。
結びに
このセッションには、伝統産業再生の最前線で戦うカルチャープレナーとしての楠氏の生の声が聞ける貴重な機会です。地方の伝統産業が直面する危機を乗り越える力が、地域経済や文化を保っていくためには不可欠です。ぜひ報道関係者の方々にもご取材頂き、伝統産業の未来についての発信を共にしていただけたら幸いです。