トレンドと消費行動の乖離
la belle vie株式会社が運営するソーシャルリスニングプロジェクト「TREND LAB.」の「令和のトレンド距離感調査」により、現代のトレンド接触と消費行動に関する新たな実態が浮き彫りになりました。この調査によれば、85.4%の人々が日常的にトレンドに接触しているものの、そのうち実際に即時消費する層はわずか8.7%にとどまっています。このような状況は、SNSが主要な情報源(53.7%)となっていることと密接に関連しており、アルゴリズムによって個々人の興味や関心に最適化された「見えるトレンド」が形成されていることが影響しています。
消費へのタッチポイント
調査結果から見ると、消費行動は「話題になってから自分に合うものを選ぶ(52.8%)」ことが一般的となっており、多くの人が様子見の姿勢を示しています。実際にトレンドを取り入れる際には、「自分の価値観やニーズ」が重要な判断基準となっています。生活者の声を聞くと、「トレンドを知ることで世の中の動向を把握している」という意識が強く、必ずしも即時の消費につながっていないことがわかります。
このような流れは、現代の消費行動において、トレンドがそのまま消費されるのではなく、より慎重に選別された上での行動となることを示唆しています。多くの人々がトレンドを「選別対象」とし、慎重に消費するものへと変革しているのです。
アルゴリズムの役割
トレンドが「全員に届かないもの」へと変化しているのも、ダイレクトに関係しています。特にSNSでは、アルゴリズムによって表示される内容が最適化されているため、各個人に異なるトレンドが浸透する構造が生まれています。この結果、トレンドは特定の層に向けて時間差で浸透していくことが一般化しています。
さらに、「食」に関連するトレンドが33.3%を占めることからも、こうした構造的要因が見えてきます。食は他の関心領域とも密接に関係しており、多様な嗜好に敏感に反応しやすい領域となっています。SNSのアルゴリズムによって情報の届きやすさが変わるなか、人々が食関連のトレンドを取り入れる傾向が高まっているのです。
情報の偏りと不信感
アルゴリズムによる情報の偏りは、受け手の不信感を生む原因ともなっています。「SNSで複数のアカウントをフォローしても、似たような情報が流れてきてうんざり」という声を聞くことが多く、情報過多の中で一体何を信じればよいのか迷う場面も増えているようです。このような状況から、消費行動を抑制する要因となっているのは明らかです。
トレンドの新しい役割
この調査から得られた結論は、トレンドが「消費そのもの」として機能するのではなく、消費判断のための「意思決定材料」としての役割を果たしているということです。生活者は、トレンドを通じて自らのニーズに合ったものを選び、価値を見出す基準にしています。特に、今後は「反・アルゴリズム」の価値が求められるトレンドが支持されると考えられます。
おわりに
トレンドの消費行動が変化する中、85%の人々が情報に接触しても、実際の消費行動は1割にとどまっていることは驚くべき現実です。トレンドはもはや、ただ広がれば売れるものではなく、個々人の価値観や意図に基づいて広がる現象へと進化しています。調査結果を踏まえて、今後の消費行動におけるトレンドのあり方を考える必要があるでしょう。