タウオパチーモデルマウス研究、神経変性を促進するT細胞の関与を解明

タウオパチーモデルマウス研究の新たな発見

最近、名古屋市立大学大学院医学研究科の研究チームと熊本大学の共同研究によって、タウオパチーモデルマウスにおける神経変性と免疫細胞、特にCD8陽性T細胞の関与が新たに確認されました。この研究は、脳―免疫という新しい視点からのアプローチが、認知症における病態の理解を深める可能性を示唆しています。

研究の背景と目的

タウオパチーとは、タウ蛋白質の異常蓄積により神経細胞が破壊される病態を指し、アルツハイマー病などの認知症の一因とされています。これに対して、CD8陽性T細胞は、ウイルス感染やがん細胞に対抗する免疫細胞として知られていますが、最近の研究では脳内におけるその役割の重要性が注目されています。本研究は、タウオパチーモデルマウスを使ってこの関係を探ることを目的としています。

研究方法

共同研究グループは、タウオパチーモデルマウスに対してフィンゴリモド（FTY720）という薬剤を投与しました。フィンゴリモドは、多発性硬化症の治療薬として知られ、通常はT細胞の脳内への侵入を抑制する効果があります。しかし、タウオパチーモデルマウスにおいては、その効果とは逆にCD8陽性T細胞の脳内での増加が見られました。

また、研究者たちはフローサイトメトリーを用いて、薬剤投与後のT細胞の割合を定量的に解析しました。この結果、脳内でのCD8陽性T細胞の増加がタウのリン酸化や脳萎縮を促進することが確認されました。