AI技術を活用したゴム製品の全数自動検査が実現

最近、株式会社HACARUSが施行したAI外観検査ソフト「HACARUS Check」が、ゴム製品の製造業者である株式会社大阪タケナカによって導入され、特に黒色ゴムパッキンに関する全数自動検査の成功が報告されました。

背景と課題

ゴム製品の製造現場においては、特に黒色ゴム製品は黒点や傷の検出が難易度が高く、自動検査の実現が難しいと考えられています。人手不足が深刻になっている中で、同社は全数目視検査の負担を軽減しようと、ルールベースの画像検査装置を導入しました。ですが、ゴムの性質や金型の状態によって良品の外観が変化するため、単純な閾値設定では不良流出リスクを完全に排除することができません。

このような課題を解決するために、株式会社大阪タケナカは、製造条件の変動や検出が難しい欠陥に対応できるAIを使用した外観検査ソフト「HACARUS Check」の導入を決定しました。

「HACARUS Check」の導入成果

「HACARUS Check」を利用することで、株式会社大阪タケナカは以下の成果を実現しました。

- 全数自動検査の実現: 「HACARUS Check」は良品の画像のみで学習する仕組みを採用しており、良品と僅かな違和感がある製品を不良として検出することが可能です。同社は不良流出を防ぐために厳しい閾値を設定し、NG判定された製品には二次検査を行う体制を整え、全数検査を確立しました。

- 柔軟な現場での再学習: ゴム製品の特性により、製造条件が変わることによって良品の見た目にも変化が生じることがあります。しかし「HACARUS Check」では、現場での迅速な再学習を行うことで、精度を調整し、良品率の改善を図ることができます。この再学習は数十分で完了し、環境に応じた柔軟な検査運用を実現しました。

今後の展望

今回の導入では、既存の画像検査装置と「HACARUS Check」を組み合わせることで、黒色ゴム製品の全数検査を可能にしました。しかし、製品によっては目視で確認できるものの、焼け具合の変化により欠陥が検出しづらいものもあります。また、近年では複雑な形状の製品が増えており、撮影環境がこれまで以上に重要となっています。今後は、これらの課題に対応するため、撮像工程を含めた総合的な検査装置の提案を期待し、新たなプロジェクトでの協業も視野に入れています。