紀伊國屋書店、2025年の通期決算発表
株式会社紀伊國屋書店(代表取締役社長 藤則幸男)が発表した2025年8月期の通期決算は、連結ベースでの売上高が1,407億9,329万円、営業利益が51億7,496万円、経常利益が53億1,343万円を記録しました。これは前年同期比でそれぞれ104.1%、118.2%、108.4%の増加を示し、親会社株主に帰属する当期純利益も47億4,194万円と、前年比137.4%を達成しています。このような結果は、既に続いている5期連続の増収増益を示しており、過去最高の売上高と利益を3年連続で更新したことが、同社にとって大きな成果となりました。
事業別の取り組み
特に注目すべきは、国内書店事業の成果です。既存店舗の売上はプラスとなり、昨年12月に完全子会社化した旭屋書店および東京旭屋書店の売上も寄与し、売上は472億円に達しました。また、法人向けの外商事業や海外事業においても順調な伸びを見せ、主力事業が揃って増収しています。
2025年8月期の概況として、国内店舗では、2024年11月に「Otemachi One店」を41坪で開店し、続く2025年6月には「イオンモール川口前川店」を412坪で開店しました。さらに、大手町ビル店は2025年3月にリニューアルオープンし、丸亀店や広島店も改装が行われました。
海外展開も拡大しています。シンガポールの文具専門店である「ラッフルズシティ店」を2025年7月に移転・拡張し、書籍の販売も開始しました。インドネシアでは2024年12月に「SOGOプラザスナヤン店」がオープンし、フィリピンでも同様に新店舗が続々と誕生しています。これにより、2026年8月期には新たにマレーシアのダマンサラハイツ店がオープン予定です。
法人外商とデジタル推進
法人外商では、大学や高専機能強化支援事業に基づく多くの教育機関の新増設支援が奏功し、サービス売上が大きく伸長しました。また、その中で、電子書籍プラットフォーム「KinoDen」や「LibrariE」、さらに中学・高校向けデジタル学習支援ツール「ジャパンナレッジSchool」の採用が増加し、デジタルシフトが進んでいます。
2025年11月末時点で、紀伊國屋書店グループの国内店舗は102店舗、海外には10か国にわたる47店舗を展開。法人外商の営業所は国内30か所、海外6か所を有しています。
2027年への道筋
紀伊國屋書店は、2027年に創業100周年を迎えるにあたり、現在も社内プロジェクトが進行中です。100周年を記念した各種イベントやプロモーション、記念グッズの展開が2026年8月期から順次発表される予定。また、出版部は創設70周年、紀伊國屋演劇賞が第60回を迎えるなど、記念すべき年が続きます。
創業者・田辺茂一のビジョンを引き継ぎ、先達たちの努力を尊重しつつ未来に目を向け、国内外での事業基盤を強化し続ける紀伊國屋書店。書店及び出版界の様々な課題に対し、同社はこれからも積極的な役割を果たし続けています。