NPO法人ETIC.が明らかにしたソーシャルセクターの採用実態
東京都渋谷区に拠点を置くNPO法人ETIC.が、ソーシャルセクターにおける人材獲得の実態を探るための調査を実施しました。この調査は、社会課題解決を目指す事業者の採用活動について、具体的な数字と成功事例を提示し、今後の採用力強化に向けた方向性を示すことを目的としています。
調査の背景と目的
ETIC.は2013年から求人サイト「DRIVEキャリア」を運営し、10年以上に渡ってソーシャルセクターの採用支援を行ってきました。このセクターでは、人材獲得が社会的なインパクトを拡大する上でのボトルネックとなっていることが明らかでした。特に採用活動においては、一般的な企業のように条件やスキルよりも、価値観や能力のマッチングが重要視される傾向にあります。
調査を通じて、ETIC.は採用実態を詳細に分析し、成功事例を共有することで、セクター全体の採用力向上を図ることを狙っています。
調査方法
本調査は、2024年11月21日から2024年12月23日まで実施され、ソーシャルセクターの採用担当者を対象としました。調査結果として有効回答を得たのは、108団体に上ります。また、日本民間公益活動連携機構(JANPIA)やNPOサポートセンターとの協力のもと、新たな知見を得ることができました。
調査結果の主要なポイント
1.
採用活動の実態
調査結果によれば、75%の団体がスタッフ職の採用を行っており、81%は専任の採用担当者が不在で、他の業務と兼務している状況です。さらに、採用にかける予算は約50%が年間10万円未満である一方、30人以上の組織の中では37%が100万円を超えていることも明らかになりました。
2.
採用過程における課題
多くの団体が、「応募者と求める人材の要件が一致しない」といった課題を抱えており、これは6割以上の団体が認識しています。特に、ソーシャルセクターの業務の多様性が影響し、求められるスキルや条件が高まっていることが背景にあります。
3.
小規模組織の特徴
研究においては、採用を行う際の課題を持つ小規模組織の特性についても触れられており、対応策を模索する必要性が示唆されました。
今後の取り組み
ETIC.では、今回の調査結果を広く発信し、NPOの採用担当者や支援機関との連携を深めることにより、全体の採用力を高める具体的な施策を展開する計画です。成功事例を基に、各団体が直面する課題を乗り越える手助けをすることで、より良い社会の実現に寄与することを目指します。
さらなる情報
この調査結果の詳細は、以下のリンクから報告書として確認することができます。
ソーシャルセクターの採用実態に関する調査報告書
NPO法人ETIC.は1993年に設立され、2000年にはNPO法人化し、2017年には認定NPO法人を取得しました。これまでに14,000名以上の参加者を輩出し、多くの起業家を支援してきました。ソーシャルセクター全体の発展を促進するため、今後も様々な取り組みを続けていきます。