JR西日本、脱炭素へ
2025-05-29 18:20:48

「ゼロカーボン2050」へ疾走!JR西日本、次世代バイオディーゼル燃料の実用化へ大きな一歩

JR西日本グループは、持続可能な社会の実現に向けた意欲的な目標「JR西日本グループゼロカーボン2050」を掲げ、2050年までにグループ全体のCO₂排出量を実質ゼロにすることを目指しています。この壮大な目標達成の鍵となる取り組みの一つが、ディーゼル車両の燃料転換です。これまで化石燃料である軽油で運行されてきたディーゼル列車を、次世代バイオディーゼル燃料へと切り替えることで、鉄道輸送におけるカーボンニュートラルを実現するべく、2022年度から2024年度にかけて大規模な実証実験が展開されてきました。

この画期的なプロジェクトは、国土交通省の「鉄道技術開発・普及促進制度」の一環として、公益財団法人鉄道総合技術研究所とJR7社が連携し、JR西日本エリアを中心に進められました。3年間にわたる綿密な検証は、段階的にその範囲を広げていきました。

プロジェクトの初年度である2022年度には、バイオディーゼル燃料がディーゼルエンジンの性能に与える影響を詳細に評価するため、エンジン単体での厳格な性能試験が実施されました。この基礎的な検証で良好な結果が得られたことを受け、続く2023年度には、実走行環境下での試験へと移行。山陰本線を中心に、夏期、通常期、冬期の3シーズンにわたる走行試験が行われ、様々な気象条件下での燃料の適合性が検証されました。

そして2024年度には、プロジェクトの集大成ともいえる長期走行試験が実施されました。この期間、およそ5ヶ月間(9月から1月にかけて)、岩徳線で運行される一部の営業列車に次世代バイオディーゼル燃料を100%使用し、実際の運行環境下での連続的な運用データが収集されました。この長期にわたる過酷な試験の結果は、プロジェクトチームにとって大きな朗報となりました。次世代バイオディーゼル燃料を長期間使用しても、車両のエンジンに何ら悪影響を及ぼすことなく、安定して機能することが明確に確認されたのです。これは、バイオディーゼル燃料が既存のディーゼル車両にそのまま適用可能であることを示す決定的な証拠であり、環境負荷低減への道を大きく開くものです。

これらの成功裏に終わった実証実験の結果を受け、JR西日本は次のステップへと大きく踏み出します。目標は、JR西日本が保有する全てのディーゼル車両の燃料を、次世代バイオディーゼル燃料へと100%置き換えることです。現在、その実現に向けて着々と準備が進められており、2025年度中には気動車の営業列車への本格的な実装を目指しています。これにより、鉄道輸送の脱炭素化が現実のものとなり、地球環境保全に貢献する新たな鉄道の姿が実現されるでしょう。

JR西日本のこの取り組みは、単に自社のCO₂排出量を削減するに留まらず、鉄道業界全体の脱炭素化を牽引するモデルケースとなる可能性を秘めています。クリーンなエネルギーへの転換は、未来の公共交通機関のあり方を示し、持続可能な社会の構築に向けた強力なメッセージを発信します。このバイオディーゼル燃料の導入は、環境と経済が共存する社会を目指すJR西日本の強い意志の表れであり、これからの日本の交通インフラにおける新たな標準を築くものと期待されます。具体的な導入時期や場所については、今後詳細が発表される予定です。


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会社情報

会社名
西日本旅客鉄道株式会社
住所
大阪府大阪市北区芝田2丁目4番24号
電話番号

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