Mendixのローコード調査の概要
シーメンスの傘下で、最先端のエンタープライズ・アプリケーション開発を手掛けるMendixが、日本を含む世界の経営幹部やIT部門の意思決定者2,000人を対象に行った大規模な調査の結果を発表しました。本調査の目的は、ローコードツールが如何にデジタル・トランスフォーメーションを促進する戦略的要素であるのかを探ることにあります。特に日本における応答者は、44%が「経営層によるデジタル・トランスフォーメーションの推進」をローコードの主要な活用方法と位置づけています。
調査から得られた重要な発見
調査レポート「The Low-Code Perspective: Insights from Enterprise IT leaders」では、日本を含む多くの国々から集まったデータを元に、ローコード市場の主要トレンドが分析されました。それによると、日本の回答者のほぼ全員(97%)が開発プロセスにローコードを使用していることが明らかになりました。また、71%がローコードにより組織の革新が促進されると考えています。
さらに、ローコード導入を推進する主体として経営幹部が挙げられ、71%がその役割を認めています。これにより、ローコードはデジタル・トランスフォーメーションを支える重要なテクノロジーと見なされています。具体的な数字として、日本の回答者の85%はAIとローコードを組み合わせることによって、社内におけるイノベーションが加速するという期待を寄せています。ただし、28%の回答者がAIに対するガバナンスの懸念も示しています。
ローコードの導入がもたらす生産性向上
調査では、日本の回答者の80%がローコードが技術チームの生産性を向上させると考えています。また、74%はローコードが開発プロセスの効率化、77%は市場投入までの時間短縮を実現すると回答しています。これらの数字は、ローコードが企業の競争力を強化する手段として非常に効果的であることを示しています。
トップダウンのアプローチ
日本での調査結果からも分かるように、経営幹部(COOやCEO)がローコード導入について積極的に関与していることが確認されました。47%がこの意思決定に深く関与していると回答しており、経営層が意識的にテクノロジーを活用し始めている姿が見えます。
具体的には、44%がデジタル・トランスフォーメーションを目的にローコードを採用、38%がワークフローの自動化、36%が新技術の統合にローコードが用いられていると報告しています。このように、ローコードは組織全体の戦略において重要な役割を果たしているのです。
投資と教育がカギ
同時に、調査では日本の回答者の79%がローコードやAIを活用している一方、教育やスキルアップが必要であるとの理解も示されています。88%が開発者がAIを適切に活用するにはさらなるトレーニングが必要だと認識しており、技術スタッフや非技術系スタッフのスキルアップがイノベーションを促進すると考えられています。
また、62%がローコードによってリスクが軽減され、法規制へのコンプライアンスが向上すると答えています。このことから、ローコードは企業が新たなリスクを軽減する手段としても機能していることが示されています。
結論
MendixのCEOレイモンド・コック氏は、今回の調査結果に基づき、ローコードの潜在能力が市場によって認識されていることを強調しました。彼は「ローコードは単なるツールに留まらず、ビジネス・プロセス全体の革新を図る手段になりうる。スキルの向上を通じて、その可能性を最大限に活かすことが重要です」と述べています。シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの橋本幸典氏も、ローコードが日本においてデジタル・トランスフォーメーションを実現するための重要な要素であることを指摘しています。
この調査は、ローコードの導入が日本のビジネス環境において如何に重要か、またそのデジタル・トランスフォーメーションの進展において未来に向けての道筋が示されるものとなりました。現代の急速に変化する市場において、ローコードは競争力を維持するためのカギとなるでしょう。