三岸家住宅アトリエの再生
2025-10-28 16:24:58

未来に繋ぐ文化財の再生、「新木造モダニズム」に挑む三岸家住宅アトリエ

未来に繋ぐ文化財の再生



東京都中野区に位置する三岸家住宅アトリエが、2025年に向けた大規模改修計画を発表しました。この壮大なプロジェクトは、国登録有形文化財としての価値を最大限に引き出しながら、次世代に継承することを目的としています。運営を担うのは、耐震補強の専門企業、株式会社キーマン。このプロジェクトは、彼らの「REDO」事業の一環として進められており、単なる建物の保全にとどまらず、「活きる文化財」の実現を目指しています。

1. 三岸家住宅アトリエの歴史的背景



三岸家住宅アトリエは、洋画家・三岸好太郎とその妻節子によって1934年に建設されました。設計はドイツのバウハウスで学んだ建築家・山脇巌が担当しましたが、三岸好太郎は自らもアトリエのイメージをスケッチし、建築に深い興味を持っていました。しかし、彼は完成を待たずに急逝し、節子がその意志を引き継ぎました。

この建物は、当時の国際様式を日本の木造技術で再現した先駆的な作品であり、文化財としての価値を認められ、2014年には国登録有形文化財に指定されました。2024年には三岸夫妻の子孫からキーマンに正式に継承され、改修計画が立ち上げられました。この計画は、建物の価値を守りつつ、持続的な活用を実現するための重要な一歩です。

2. 新木造モダニズムへの挑戦



改修計画において最も注目されるのが、「新木造モダニズム」というコンセプトです。これは、三岸家住宅アトリエが持つ当時の精神を尊重しつつ、現代の技術を融合させ、新たな価値を生み出す試みです。

これまでの修繕は建物を守るためのものでしたが、創建当時の意匠やディテールが失われた部分もありました。今回の改修では、その失われた価値を「現代のかたち」で再構築することが最大のテーマとなります。伝統的な復原だけでなく、未来へ向けた進化した形を目指すのです。

3. コーナーウィンドウの再構築



三岸家住宅アトリエの特徴的な要素であるコーナーウィンドウも重要な改修ポイントに挙げられます。1934年当初、建築家はこの窓のデザインを通じて自然光を最大限に取り入れる工夫を凝らしましたが、雨漏りや強風による破損などの問題に直面していました。これまで何度も改修が行われ、形が変わってしまったコーナーウィンドウの再構築計画が進められます。新しいデザインは、防火性能や耐震基準を満たしながらも、当初の透明感と軽快さを再現することを目指します。

4. 記憶を残す「移設保存」



改修に伴い、応接室の一部を解体する必要がありますが、単に撤去するのではなく、隣接する施設に移設保存することで、その歴史的記憶を未来に残そうとしています。この試みは、新しい空間の中でもかつての雰囲気を感じられるようにし、文化財の保存理念である「進化的継承」を実践するものです。

5. REDO 鷺ノ宮プロジェクトの全貌



三岸家住宅アトリエとカーサビアンカは一体的に「REDO 鷺ノ宮プロジェクト」として運用されます。このプロジェクトは、文化財を日常の中で活かす新しいモデルを目指しています。1階部分では、美術や建築に関するスペースが設けられ、ワークショップや講演会、イートインスペースが予定されており、さらに共同住宅としての利用も考えられています。

定期的に一般公開日も設け、来訪者が文化財の価値を直接体感できる機会を提供します。これにより、ただの保存にとどまらず、地域社会と共に「活きる文化財」を育むことを目指しています。

6. 代表者のコメント



キーマンの代表取締役、片山寿夫氏は「今回の改修は、文化財を守るだけではなく、活かすことを目的としています。過去、現在、未来をつなぐ建物として次の世代に引き継いでいきたい」と語っています。この改修計画は、地域社会や文化に新たな価値を見出すための挑戦でもあります。

結論



三岸家住宅アトリエの改修プロジェクトは、過去の記憶を大切にしながら、未来への新たな一歩を踏み出す意義深い取り組みです。地域の文化財として、また社会の一部として、新たな活用が期待されています。


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会社情報

会社名
株式会社キーマン
住所
大阪府大阪市中央区本町3丁目1番10号PMO EX本町7階
電話番号
03-6661-0288

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