陸前高田の15年の挑戦が生んだ官民連携の成果とは
陸前高田市で活動する認定NPO法人SETは、このたび第7回日本GRサミットで行われた「GR官民連携アワード」において最優秀賞を受賞しました。この栄誉は、彼らが取り組んできた「陸前高田市担い手創出プログラム事業」が評価された結果です。このプログラムは単なる地域の担い手を増やすことを目的としているのではなく、都市と地域の間に持続的な関係構築を目指すものです。これにより、地域の未来を形作る基盤を整えています。
15年の継続的な取り組み
東日本大震災をきっかけに始まったこの活動は、すでに15年が経過しました。これまでの取り組みで育まれてきた「人との関係性」や「人の変化」は、今回の受賞の要因となっています。SETの活動は、数値的な成果だけでなく、人と地域の関係性の変化を長期的に積み重ねてきたことが評価されました。
自発的な関係の構築
SETは2011年3月、震災からわずか2日後に設立されました。初期段階では地域との交流がスムーズではありませんでした。他地域から来た若者が地域に入ることに対し、戸惑いが存在していたのは否定できません。しかし、SETは関わり続けることをやめませんでした。何度も訪れ、地域の人たちと顔を合わせる中で、少しずつ関係が変わっていきました。日常に溶け込むように訪問される状況は、外部の人々とのキュレーションを行い、相互にコミュニケーションを育む状況へと変わっていきました。
若者と地域の相互作用
プログラムに参加する若者たちは、陸前高田の生活や仕事に直接触れる機会を得ます。最近では、例えばわかめ漁の現場での実習などが行われ、自らの生き方を問い直すきっかけとなっています。一方で地域もまた若者との関わりを通じて、自分たちの日常の価値に改めて気づき、新たな挑戦が生まれています。SETの活動は「支援する/される」という一方的な関係ではなく、協力し合い、共に成長する関係を生んでいるのです。
官民連携の新たな形
SETは、行政職員がNPOの現場に参加するための研修機会を創出し、制度形成側と実践の現場をつなぐ役割も果たしてきました。このような取り組みを通じて、官民が協力して地域を支えるための土台が形成されています。その関係性は、一時的ではなく、持続的に育まれるものです。
持続可能な地域作り
人口減少が進行する中で、地域の担い手不足は深刻な問題です。SETは「人を増やす」ことだけではなく、地域と関わる人を増やし、その深い関係を育てることに重点を置いています。単発の交流ではなく、何度も訪れ、関係を深めることで地域の持続可能性を支えているのです。今回の受賞は、これらの考え方が社会的にも価値を持ちつつあることを示しています。
取り組みの意味と今後の展望
地域にとっては、外部との関わりの中で自らの価値を再確認する機会となり、新たな担い手や支援者が生まれることでしょう。また、若者たちにとっては自身の生き方を見つめ直す時間が提供されます。さらに、この実践は人口減少時代における新たな人と地域の関わり方を示す好例とされています。
SETでは、この受賞をただの通過点と考えています。2026年には、15年の実績をまとめた書籍『縁がめぐるまちづくり(仮)』の出版を予定し、全国の地域コーディネーターとの連携を一層強化する方針です。関わることは一度切りでは完結しないと認識しており、人と地域の間に生まれた結びつきを次世代へと繋げていくことが、これからの地域づくりのカギだとSETは主張しています。