大林組、シンガポールに研究開発拠点「Obayashi Construction-Tech Lab Singapore」を開設!次世代建設技術でアジア市場を開拓
株式会社大林組は、2024年4月にシンガポールに新たな研究開発拠点「Obayashi Construction-Tech Lab Singapore(以下、OCLS)」を開設しました。OCLSは、アジア地域における次世代建設生産技術の育成・展開拠点として、社内外との連携を強化し、建設技術の研究開発を加速させていきます。
グローバルな技術開発拠点として、シンガポールの建設業界に貢献
大林組は、企業理念として「優れた技術による誠実なものづくりを通じて、空間に新たな価値を創造する」を掲げ、建設関連技術の進歩を通じた持続可能な社会の実現を目指しています。技術開発の中核拠点である大林組技術研究所(東京都清瀬市)に加え、2017年には米国シリコンバレーにオープンイノベーション拠点「Silicon Valley Ventures & Laboratory(SVVL)」を開設し、現地スタートアップや研究機関との協働による建設関連技術の研究や開発を国内外で取り組んでいます。
シンガポールでは、コロナ禍による外国人労働者の不足が深刻化し、建設業界における省人化・生産性の向上が喫緊の課題となっています。この課題解決に向け、同国の建築建設庁(Building and Construction Authority:BCA)は、国内外の建設会社やスタートアップによる技術開発を積極的に推進しています。
大林組は、OCLSを通じて、アジア地域の大学などの研究機関や建設会社、スタートアップとの共同研究・開発を推進し、建設現場への適用支援を行います。特に、建設ロボティクス技術を中心とした研究開発を進め、将来的にはその他の分野にも範囲を広げていきます。
OCLSの主な研究開発プロジェクト
OCLSは、BCAのBraddell Campus内に2023年10月に開設されたオープンイノベーション施設「Built Environment Innovation Hub(BEIH)」に入居しています。BEIHは、建築・環境関連のテクノロジー企業などが集まる施設で、入居者共用の実験空間やコンファレンス施設を備えています。
OCLSでは、以下の3つの研究開発プロジェクトを推進していきます。
1.
アジア諸国スタートアップとの建設自動化技術の現場実証および適用促進
アジア諸国の建設自動化領域のスタートアップと共同で、大林グループ現地法人の建設現場における技術検証を行い、現場適用を促進していきます。BCAによる補助金「Productivity Innovation Project(PIP) incentive scheme」を活用し、中国のロボットメーカーFang Shi Technology製のコンクリートならし・コテ押さえロボットを導入し、コンクリート打設時の生産性向上について検証を進めていきます。
2.
南洋理工大学シンガポール3Dプリントセンターとの建設3Dプリント技術の研究開発
シンガポールの南洋理工大学(NTU)の3Dプリント技術研究組織であるシンガポール3Dプリントセンター(Singapore Centre for 3D Printing:SC3DP)に共同研究室を開設し、大林組が日本国内で培った技術とSC3DPが持つ技術を連携させ、建設業における3Dプリント技術の適用拡大を目指します。この共同研究では、持続可能な建設材料の開発や、機械式継手、複合材料部品などの3Dプリント技術開発を行います。
3.
シンガポール工科デザイン大学との建設ロボティクス活用の研究開発
先端的なロボティクス技術を有するシンガポール工科デザイン大学(SUTD)と、革新的な次世代の建設プロセスの確立と実用化に関する共同研究を行います。センサーとAIを活用して建設現場をマッピングし、建設現場をロボティクス技術適用に適した環境にする方法の研究や、複数の建設現場で同時にロボットを遠隔管理できるプラットフォームの開発などを行う予定です。
グローバルな課題解決に向けた取り組み
大林組は、OCLSを起点に、シンガポールをはじめとしたアジアにおける研究開発エコシステムを構築し、未来を拓く技術開発を加速させることで、グローバル規模で社会課題の解決を目指しています。
OCLSは、建設業界のイノベーションを牽引し、アジア地域における持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されます。