球体ドローン「ELIOS 3」で進化する下水道点検技術の未来

球体ドローン「ELIOS 3」による下水道点検の実証実験

兵庫県姫路市で、2025年4月10日に行われた球体ドローン「ELIOS 3」を使った下水道点検の公開実験が話題になっています。この実験は、株式会社旭テクノロジー（ATCL）が主導し、姫路市上下水道局や関連事業者が参加しました。

背景

下水道は、私たちの生活に不可欠なインフラです。浸水や排水の問題を迅速に解決し、都市環境を維持するために重要な役割を果たしています。しかし、1950年代以降に整備された日本の社会インフラの老朽化が進んでおり、特に下水道設備は50年以上経過しているものが多くなっています。このため、見えないリスクが増加していることが懸念されています。

検証内容

今回の実証実験では、従来の人手による点検方法と比べ、ドローンを使うことによってどのように点検が効率化・安全化されるかが目的です。従来の方法では、柔軟な撮影が可能ですが、人身事故のリスクも内在しています。カメラロボットや水上ロボットは人的リスクを軽減しますが、点検範囲が限られるという課題があります。これらを踏まえ、ドローンの導入がどれほど役立つかを検証しました。

検証用機材

今回使用されたのは、スイスのFLYABILITY社が製造した「ELIOS 3」です。このドローンは以下のスペックを持っています:

- 直径：400mm、高さ：380mm
- 4Kカメラとサーマルカメラを搭載
- 防塵性能、光量：16,000ルーメン
- 飛行時間：9分（高性能Lider有）、12分（無）
- 機体重量：2.35kg（バッテリーを含む）

検証結果

ELIOS 3は、下水道点検のスクリーニング調査に非常に有効であることが確認されました。下水道の点検は、様々な環境条件により難易度が変化します。特に、マンホール直上や本管内では、風速や流水量の影響が大きかったのです。

飛行と撮影内容

ELIOS 3は、マンホール直上の風速が約2.0m/sの中で約6.7m飛行し、静止画と動画を撮影しました。撮影後は、専用ソフトウェアを使用して3D点群データを生成しました。この環境下での操作には繊細さが求められましたが、評価は非常に高かったです。

参加者の声

- 画像が鮮明だった
- 思ったより早く移動し撮影できていた
- 自由に空間内で撮影できる点が優れている
- 下水道点検のスクリーニング調査に活用したい

今後の展望

今回の検証によって、ELIOS 3は強風や流水量の影響を受けるものの、下水道点検に大きな可能性を秘めていると評価されました。さらなる社会実装に向けて、着水のリスクや高湿度な環境での対応策などの課題を克服していくことが求められています。

これらの新技術の活用により、下水道点検の効率性や安全性はさらなる向上が期待されます。ATCLは今後もこの分野での取り組みを強化していく予定です。