生体親和性材料「MPCポリマー」の革新と医療機器への応用
インテリジェント・サーフェス株式会社は、生体親和性材料である「MPCポリマー」の開発を進めています。この材料は、医療機器や住宅設備、工業製品などの表面を革新する可能性を秘めており、最近ではデクセリアルズと総額約1.5億円の資金調達を行い、資本業務提携も締結しました。この取り組みにより、MPCポリマーの実用化を加速させる目標が設定されています。
背景と目的
現代医療における課題の一つは、体内に埋め込む医療機器の表面での生体反応です。人工血管等の医療機器は、体内では異物と認識されるため、タンパク質が吸着したり、血栓が生成されることがあります。これらの問題を解決するため、MPCポリマーが注目されています。
このポリマーは、ヒトの細胞を構成する膜を模倣する設計で、体内において生体膜として認識されることで、医療機器への生体反応を抑えることが期待されているのです。コーティングによって、医療機器は汚れが付着しにくくなり、高いメンテナンス性を実現します。
MPCポリマーの特長・機能
インテリジェント・サーフェスが開発したMPCポリマーは、以下の特性を持っています。
- - 生体親和性
- - タンパク質非吸着性
- - 血液適合性
- - 超親水性
- - 防曇性
- - セルフクリーニング機能
これらの機能により、医療機器だけではなく、住宅設備や自動車、船舶といった幅広い分野に応用される可能性があります。例えば、住宅設備では、キッチンやトイレの汚れ防止対策に寄与し、船舶や自動車においては海洋生物の付着やレンズの曇りを防ぐ効果が期待されています。
NEDOの助成事業と資金調達
インテリジェント・サーフェス株式会社は、2017年にNEDOによる「研究開発型ベンチャー支援事業」に採択され、資金調達を実施してきました。この度、NEDOの支援事業において2件目の採択を受け、デクセリアルズとの提携を通じ、さらなる技術開発を進めています。これにより、MPCポリマーの事業化を一層加速させる狙いです。
結論
MPCポリマーの開発は、医療機器産業における新たな可能性を拓いています。一方で、一般医療機器や管理医療機器、高度管理医療機器などさまざまな分野でもその適用が期待され、未来の医療のあり方を変革することが考えられています。インテリジェント・サーフェスは、この革新的材料の発展により、さらに広範な産業に貢献していくことでしょう。