冬用タイヤ開発の新たなステージへ
住友ゴム工業(株)は、北海道名寄市に位置する冬用タイヤの開発拠点「名寄タイヤテストコース」に、最先端の冷却装置を新たに導入しました。この取り組みは、急激な気象変化により開発期間が短縮される中、安定した環境での高品質タイヤ開発を目指しています。
冷却装置の導入背景
近年、暖冬の影響が強まる中、冬用タイヤの開発は気象条件に大きく左右されています。これに対抗する形で導入された冷却装置により、従来の開発期間である1月から2月の2ヵ月を、12月から3月の4ヵ月へと大幅に延長が可能となりました。このような対応は、高性能なタイヤを確実に市場に送り出すための大きな一歩です。
特に、国連が規定する「アイスグリップシンボル」に準拠した開発試験を、-5℃から-15℃の路面温度で実施できることは、製品の信頼性向上につながります。この新しい試験環境により、冬用タイヤの性能を一層高めることが期待されています。
竣工式の開催
12月15日には、名寄テストコースで冷却装置の竣工式が行われ、地域の関係者が参加しました。北海道名寄市の加藤剛士市長も出席し、住友ゴムが世界に素晴らしいタイヤを発信することを祈念していると述べました。同社の村岡清繁取締役常務執行役員は、名寄の地からユーザーに感動を届けることへの意気込みを語りました。この熱意が多くの優れた製品開発へと繋がることが期待されます。
名寄タイヤテストコースの役割
住友ゴムは国内において、名寄および旭川に冬用タイヤ専用のテストコースを設けています。名寄タイヤテストコースでは、凍結路や圧雪路におけるタイヤ性能の試験と解析が行われ、新しい製品の開発が進められています。今後も、冬の厳しい環境でも安心して使用できる高性能タイヤの開発に尽力していくことでしょう。
名寄タイヤテストコースの基本情報
- - 所在地: 北海道名寄市字智恵文1996-1
- - 開設: 1991年
- - 敷地面積: 87万㎡
NICEの基本情報
- - 試験開始時期: 2021年1月
- - 建屋面積: 3000㎡
- - 保有設備: 制動試験路(全長100m)、旋回試験路(30m×30m)
- - 用途: 屋内での氷上実車試験
住友ゴム工業の新たな取り組みは、冬用タイヤ業界において今後のスタンダードを築く重要なステップになることが期待されています。これにより、厳しい冬の条件下でも安全かつ快適に走行できるタイヤ技術が進展することでしょう。