TXP Medical株式会社が新たにリリースした「ありがとうサポート」は、がん患者のためのスマートフォン向けの問診プラットフォームです。本サービスは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に基づき、公益財団法人がん研究会有明病院の監修のもとに開発されました。がん研有明病院では2024年7月1日から試験運用が始まる予定で、TXP Medicalは全国のがん診療施設への導入を進めています。
「ありがとうサポート」では、スマートフォンを用いて、患者が日々の体調を簡単に記録し、医療機関に問診を提出することが可能です。特に抗がん剤治療中の患者は、診療時間が限られているため、医療従事者に自らの症状を正確に伝えることが難しくなることが多くあります。このプラットフォームを利用することで、質問に回答した内容が客観的な評価に変換され、医療機関に共有されるため、コミュニケーションがスムーズになります。さらに、患者同士が結果を比較し、自分の体調をより客観的に把握する助けにもなります。
本サービスは、Google ChromeやSafariなどのWebブラウザ上で動作するため、アプリのインストールや更新が不要です。患者は自身のホーム画面にアイコンを配置して、システムからの重要な通知を受け取ることができるため、利便性も向上しています。「自身や家族ががんと診断された際には、まず『ありがとうサポート』を使ってほしい」との思いが込められています。
がんの副作用に関する問診サービスからスタートし、今後は他の疾患や治療にも対応する予定です。患者のサーベイランスや入院時のチェックシート、さらには研究のための電子的患者報告アウトカム(ePRO)など、医療機関のニーズに応じた多様な用途が考えられています。さらに、情報ページや連絡通知などの機能追加も計画されており、医療DXの手段としての活用も期待されています。つまり、「ありがとうサポート」は、患者と医療機関との架け橋としての役割を果たすことを目指します。
戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として行われている「統合型ヘルスケアシステムの構築」も重要なテーマの一つで、医療デジタルツインを実現することで医療の質向上と持続可能な制度の実現を目指しています。TXP Medicalはこのプロジェクトに参加しており、がん医療に関するデータベースの開発に取り組んでいます。このように、TXP Medicalは「医療データで命を救う」という理念のもと、次世代の医療インフラの構築を進めています。
TXP Medicalは2017年に設立され、現在では全国79の大病院で急性期医療データプラットフォーム「NEXT Stage ER」を稼働中です。また、救急隊向けのモバイルアプリ「NSER mobile」は、全国41地域で運用されています。今後も医療インフラの革新を進め、より質の高い医療サービスを提供することを目指しています。