大阪・関西万博におけるスポーツとSDGsの融合
2025年に開催される大阪・関西万博を舞台に、日本スポーツ振興センター(JSC)と国連訓練調査研究所(UNITAR)が共同で、スポーツを通じた持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を促進するプログラムを実施しました。特にスポーツが開発と平和の分野にどのように寄与できるかを探求する内容となっています。
このプログラムは5月4日に万博会場のテーマウィークスタジオで行われ、国内の競技団体、地方公共団体、NGO/NPO、大学などから78名が参加しました。開会の挨拶では、JSCの芦立理事長が「バーチャルスポーツの発展が従来のスポーツの可能性を広げ、すべての人が楽しむための手段として重要である」と述べ、その後のプラグラムの意義を強調しました。
バーチャルローイング体験
プログラムでは、参加者が「バーチャルローイング」を体験できる機会が設けられました。このバーチャル体験は障がいのある方もない方も一緒に楽しめるものであり、社会的包摂の観点からも非常に意義深いものでした。また、東京オリンピック・パラリンピックで使用された海の森水上競技場のコースを再現し、スダーカーワロ氏と瀬戸僚太氏というパラアスリートによるデモンストレーションも行われ、参加者はトップアスリートの迫力を間近で体感しました。
SDPワークショップ
続くSDP(開発と平和のためのスポーツ)ワークショップでは、JSCの山田悦子氏がSDGs達成に向けたスポーツの活用ガイドブックを基に、スポーツが社会課題解決に貢献するために必要な政策や実施方法について説明しました。オーストラリアRMIT大学のEmma Sherry教授は、国のスポーツ政策とSDGsとの関連性についての研究結果を共有し、政策においてどのように具体的な目標を設けるかといった重要なポイントを強調しました。
持続可能性と協働の重要性
また、ワールドローイング理事の細淵雅邦氏は持続可能性戦略について、WWFとの協力によって河川や湖の生態系を守る取り組みや、女性の意思決定過程への参加促進について事例を交えながら説明しました。このように、バーチャルなスポーツの導入が若者のスポーツ離れや高齢化などの社会課題に対する解決策として機能する可能性についても言及されました。
参加者からは「モニタリング・評価(M&E)」や「分野を横断した協働」の重要性に関する質問も多く寄せられ、多様な意見が飛び交いました。
このように、JSCとUNITARは大阪・関西万博をひとつのプラットフォームとして、多くの関係者に向けてスポーツが持つ社会課題解決の力を広く発信することができました。今回のプログラムを通じて、スポーツが持つ可能性とその重要性を再確認する機会となったことは、今後のスポーツ活動にも良い影響を与えることでしょう。