細胞バンク事業の東南アジア進出を目指して
株式会社ステムセル研究所が、インドネシアの大手コングロマリット「シナルマスグループ」創業家のファミリーオフィスであるBIG RAINBOW INVESTMENT PTE. LTD.との合弁契約を締結したことを発表しました。この契約は、2025年7月15日の取締役会で正式に決定され、今後の展開が期待されているという。
合弁契約の背景
同社は1999年の設立以来、周産期組織由来の細胞保管サービスを展開してきました。国内での市場シェアは約99%を誇り、リーディングカンパニーとしての地位を確立しています。現在、年間約1,000万人の出生数を誇る東南アジア市場への可能性に着目し、地域拡大を図ることになりました。特にシンガポールでは、民間のさい帯血バンクがすでに存在し、保管率が約20%に達しているなど、十分なポテンシャルが感じられます。
合弁会社の概要
合弁契約によって設立される「STEMCELL INNOVATIONS PTE. LTD.」は、南東アジア市場において細胞バンク事業を展開する予定です。出資比率は両社50:50で、出産時に採取されるさい帯やさい帯血の保管サービスから開始し、将来的には卵子保管サービスや再生医療分野への拡大も目指しています。
合弁会社の所在地はシンガポールのロビンソン・ロードにあり、代表には清水崇文氏が選ばれています。初期投資や体制構築費用については、2025年度の業績予想に既に組み込まれているとのことで、将来的な収益化に向けた動きが期待されています。
シナルマスグループの影響力
シナルマスグループはカリスマ性を持つコングロマリットで、製紙や農業、金融、不動産、通信、エネルギー、ヘルスケアといった多様な事業を展開しています。このような多角的な企業体との提携により、ステムセル研究所は現地市場へのアクセスを強化し、安定した運営を実現する見込みです。
未来の見通し
合弁事業により、2026年3月には事業開始が予定されており、その後は段階的なサービス拡大を進めていく考えです。会社は日本市場と同程度のビジネス基盤構築を目指しており、輸送や保管のオペレーション、品質管理といった日本で培ったノウハウを持ち込むことで、現地でのプレゼンス強化を図る計画です。
この合弁契約が成功すれば、東南アジアにおける細胞バンク事業は新たなステージに突入し、さらなる発展が期待されます。