新たな認知症予防法、パーソナルソング・メソッドとは
現在、認知症予防のための方法としてパズルやドリル、体操などが広く知られていますが、これらは新しいことを学ぶ必要があるため、実践する人にとって「面倒だ」と感じる場合も少なくありません。しかし、最近注目を集めているのが「パーソナルソング・メソッド」です。これは準備が不要で、楽しく脳のトレーニングができるという特徴があります。これまでに300人以上のシニアがこのメソッドを実践し、驚くべき成果を挙げています。
パーソナルソング・メソッドの背景
「パーソナルソング・メソッド」の根底には、音楽と記憶の深いつながりがあります。2009年にカリフォルニア大学デイビス校が発表した研究では、「MEAMs(音楽が喚起する自伝的記憶)」が取り上げられ、知られた古い楽曲と古い記憶の相関関係が示されています。また、2014年のドキュメンタリー映画「パーソナルソング」でも同様のテーマが扱われました。
さらに、2013年の日本心理学会第77回大会での発表を受けて、日本回想療法学会がADL(Activities of Daily Living)記憶の重要性に着目し、このメソッドを発展させました。ADL記憶とは、主に10歳から15歳の頃に形成される記憶のことで、これが「パーソナルソング・メソッド」の選曲の基準となっています。
メソッドの実践と効果
実際に「パーソナルソング・メソッド」を実践すると、多くの高齢者が昔の記憶を語り出します。介護士ですら初めて聞く過去のエピソードや、普段お話ししない方が饒舌になることが多く、これは音楽が持つ強力な記憶喚起の力によるものです。形が記憶に強く結びついていることから、オリジナルの音源を用いることが重要です。
メソッドの重要な三つの要素
「パーソナルソング・メソッド」には、以下の三つの要素があります。
1.
オリジナル音源・映像の使用: オリジナルの音楽を聞くことで、記憶が刺激されます。
2.
適切な音源・映像の選定: 高齢者と一口に言っても年齢層が広いため、各々に合った音楽を見つけることが必要です。
3.
おしゃべりを通じた記憶の引き出し: 参加者の記憶を引き出すために、適切な質問が求められます。
実験結果と今後の展望
近年、「パーソナルソング・メソッド」をデイサービスで実践した際には、対象者の脳血流に変化が見られました。驚くべきことに、記憶が呼び起こされることで、劇的な向上が確認されました。この実験結果は、メソッドが認知症やMCI(軽度認知障害)にも効果があることを示しています。
ただし、「パーソナルソング・メソッド」は、アルツハイマー型認知症に対して効果的である一方、他の型の認知症には効果が薄いとされています。これからも多くの研究と実践が進むことが期待されています。
さらなる情報と実践のご案内
「パーソナルソング・メソッド」を実践するためには、オリジナルの音源や映像の準備が必要です。著作権の問題などもあるため、興味のある方はぜひご連絡をいただければと思います。弊社では、実践をサポートするツールや、さまざまな権利をクリアにしたDVDもご用意しています。
「パーソナルソング・メソッド」に関するお問い合わせは、
[email protected]までお願いします。詳しくは弊社のホームページをご覧ください。音楽の力で記憶を呼び起こし、楽しく認知症予防に取り組みましょう。