青山学院大学 地球社会共生学部は、サンフランシスコから迎えたゲスト講師と共に、初めてのティンカリング・サマースクールを成功裏に開催しました。このサマースクールでは小学生たちが主体となって、実際の教育手法を通じて問題解決を学ぶ場を設けました。
「ティンカリング」という言葉は、元々「修理屋」を意味していましたが、今では「試行錯誤して課題を解決する」という意味でも使われています。最近注目されているSTEAM教育とも関連が深く、子どもたちが身の回りのものを使って創造性を育むことが目的とされています。これを実践するため、今回はGever Tulley氏とMatt Brocchini氏、その両者が行っている彼らのサマースクールの手法を学ぶために日本に招かれました。彼らはサンフランシスコにある最先端の新教育を展開するBrightworks校の創設メンバーで、非認知能力を育む手法として高く評価されています。
このサマースクールは、4日間のプログラムで構成されており、初日から3日目まではワーク期間として、4日目に成果の発表会が行われました。初日に行われた安全講習では、子どもたちが工具を使う際の注意事項を徹底的に学び、安全な使用法を習得しました。心配する声も上がりつつ、子どもたちは自信を持ってツールを扱えるようになっていったのです。
3日間のワークが進む中で、子どもたちには「火星へ行こう」とのミッションが与えられ、彼らの手で「火星へ行くための乗り物」や「宇宙服」といった製作物を完成させる必要がありました。自分たちで考え、選び、行動することが求められ、全ての判断は子どもたちに委ねられました。過程を重要視する教育を実現するため、大人たちはあえて目を瞑り、切羽詰った状況に陥っても子どもたち自身で解決を図るよう促しました。
このような教育法では、教員ではなく「コラボレーター」という立場の大人たちが存在し、彼らはまさに伴走者として子どもたちをサポートします。プログラム中、保護者との関わり方についても特別な配慮がされ、最終日の発表会まで自宅では決して手助けをせず、子どもに「導かない」「叱らない」というルールが設けられました。これは、子どもたちが自分自身で自由に感じ、考える力を育めるようにとの配慮です。
最終日には成果発表会が行われ、子どもたちは創造的な製作物を披露しました。関心を寄せた保護者たちが作品を見守る中、発表が続き、子どもたちがツールの使い方を誇らしげに伝える姿も見られました。発表後にはGever、Matt両氏と青山学院大学の関係者によるトークセッションも開催され、保護者と共に取り組みの振り返りを行いました。
今回サマースクールに参加した青山学院大学の学生、山森こころさん(4年)と岡野優花さん(2年)は、通訳アシスタントとして関わりつつ、コラボレーターとしての役割を担いました。両者は子どもたちとの関わりを通じて成長し、新たな経験を得たと語ります。特に山森さんは現地の教育制度に触れ、卒業後のキャリア構築に向けての学びたいとする意欲が高まったと述べました。
このように、青山学院大学のティンカリング・サマースクールは、実践的な学びを通じて子どもたちの自主性と創造性を引き出し、次世代のリーダーを育む重要な機会として注目を集めています。また、地球社会共生学部は今後も独自のプログラムを展開し、教育の革新に取り組んでいくことでしょう。