東京主要7区のオフィス市場動向
2024年9月末時点での東京の主要7区におけるオフィス市場の空室率と平均募集賃料が発表され、今後のトレンドを考察するにあたり重要なデータとなっています。
空室率の動向
主要7区の平均空室率は5.13%で、前月比で0.17ポイント減少しています。このデータから、特に千代田区、港区、江東区が回復の兆しを見せている一方、中央区、新宿区、渋谷区、品川区では横ばい状態が続いていることがわかります。
また、主要5区においては、2023年にオフィスビルが大量に供給された影響もあり、一時空室率が6.88%まで上昇しました。しかし、そこから回復を見せ、直近では4.94%と、2021年1月以来44か月ぶりに5%台を切ったことが示されています。
平均募集賃料の動向
一方、平均募集賃料については、新宿区で上昇傾向が見られ、渋谷区や江東区では下落しています。千代田区、中央区、港区、品川区は横ばい状態で、主要7区全体の平均募集賃料は前年同月比で1,126円 / 坪の上昇を記録しています。特に千代田区ではオフィス需要が堅調で、空室率は2%台と低迷しているため、平均募集賃料は主要7区で唯一35,000円 / 坪を超え、40,000円 / 坪目前まで回復しています。
業種別のオフィス移転の傾向
2024年1月から2024年8月までのオフィス移転事例を分析した結果、業種を問わず、移転先のビルは築年数が新しい物件が選ばれる傾向が見られました。
特に「学術研究、専門・技術サービス業」では、なんと22%が未竣工物件への移転を行っており、その他の業種に比較して高い割合となっています。これに伴い、大手建設コンサルタント企業は、現入居ビルの建替えを理由に、同じエリア内の竣工予定物件への拡張移転を発表しています。
製造業や金融業、保険業においても、新しい物件への移転比率は10%前後ですが、築10年未満の物件を選好する傾向が強いようです。一方で、「情報通信業」や「卸売業、小売業」では、築11年以上の物件が過半数を占める結果となっています。
まとめ
以上から、東京の主要7区のオフィス市場は、回復の兆しを見せつつあり、特に千代田区の安定した空室率と高い賃料が業界の注目を集めています。また、業種別の移転傾向から、新しい環境への適応や拡張のための重要な要因が浮き彫りになっています。今後の動向に注目が集まります。
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