一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会と損害保険ジャパン株式会社は、フリーランス向け弁護士費用保険『フリーガル』の補償範囲を拡大することを発表しました。これは、フリーランスとして活動する人々が直面するトラブルに対する保険の重要性が高まっていることを受けた措置です。
フリーランスの増加と報酬トラブルの現状
近年、フリーランスとしての働き方が広がりつつある中、多様な働き方を選択する人が増えています。総務省の2022年の調査によると、日本国内のフリーランス人口は実に257万人に達しています。このような状況の中で、報酬トラブルも増加しており、フリーランス協会が過去に実施した調査では、未払い報酬や一方的な減額に関する悩みも多く寄せられています。
このような背景を考慮して、フリーランス協会と損保ジャパンは、「フリーガル」を2019年に開発し、以来、フリーランスに特化した保険として提供を続けています。2021年にはこの保険を自動付帯化し、2022年には自己負担額ゼロのアップグレードを行いながら、利用者の利便性を高めてきました。
知的財産権トラブルへの対応
フリーランスにおいては、クリエイターエコノミーの成長や生成AIの普及が進む中、知的財産権の侵害に関するトラブルが増加しています。フリーランス協会の調査によると、48.8%のフリーランスが知的財産権の侵害に対する不安を抱えていることが明らかになりました。特に、作品の無断利用や改変が心配されており、これまでの報酬トラブルに加えて新たな問題が生じています。
このような課題感に応えるかたちで、2024年9月15日より『フリーガル』は知的財産権侵害に関するトラブルにも保険が適用されることになります。これにより、自身の制作物が無断で使用された場合、相談費用や弁護士費用が補償され、最大70万円までの保険金の請求が可能になります。また、自己負担なしで損害の90%が保険金として支払われるため、より安心して活動できる環境が提供されます。
これからのフリーランス環境
来る2024年11月には「フリーランス新法」の施行が予定されており、フリーランスと発注者との取引の適正化が期待されています。しかし、依然としてフリーランス自身がトラブルを解決する必要があるため、保険によるサポートは重要な要素となります。
フリーランス協会と損保ジャパンは、この『フリーガル』を活用することで、フリーランスが安心して働ける環境作りに貢献していく方針です。したがって、これからのフリーランスにとっては、知的財産権を守るための新しい保険制度が一層重要になってくるでしょう。フリーランスの力量や創造性が健全に表現される社会を目指して、今後も多様な支援が求められます。