商船三井が新たな挑戦、世界初のアンモニア燃料船の整備を発表
株式会社商船三井(以下「商船三井」)は、環境に優しいクリーンエネルギーの一環として、アンモニアを燃料として運航できる新しいケープサイズバルカーとケミカルタンカーを9隻整備することを発表しました。この取り組みは、商船三井グループの100%子会社であるMOL Chemical Tankers Pte. Ltd.(以下「MOLCT」)とベルギーに本社を置くCMB.TECH NVとの共同プロジェクトです。このプロジェクトによって、世界で初めてのアンモニア二元燃料船が誕生することになります。
アンモニア燃料への関心が高まる中での決定
アンモニア燃料船の整備は、持続可能な海運の実現に向けた重要なステップとなります。脱炭素化が求められる現代において、アンモニアは次世代のクリーンエネルギーとして注目されています。商船三井は、2050年までにネットゼロ・エミッションの達成を目指し、自社の取り組みとして「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」を策定しています。この中でアンモニアの活用も明記されています。
次世代燃料としてのアンモニアは、環境負荷が低く、持続可能な資源であることから、海運業界においてもその活用が進んでいます。商船三井は、2050年までの環境目標達成に向けて、むしろ積極的にアンモニアの活用を進めていく方針です。
MOL Chemical TankersとCMB.TECHの役割
商船三井の子会社であるMOL Chemical Tankersは、業界最大規模の110隻以上のステンレスタンクケミカル船隊を有し、さまざまな液体化学品や油脂類の輸送を手掛けています。基地はシンガポールをはじめ、東京やコペンハーゲンなど、多くの国に広がっています。この取り組みにより、業界のキャパシティと持続可能性の両立を図ることが期待されており、約410人の職員がその運営に関わっています。
一方、CMB.TECHは150隻以上の外航船を運営し、水素と共にアンモニアを燃料として供給する役割を担っています。彼らはヨーロッパ、アジア、アメリカ、アフリカに拠点を持ち、これまでの経験を基に商船三井との協力を通じて新たな燃料供給のモデルを構築していきます。
環境への貢献と未来への展望
商船三井とMOLCT、CMB.TECHが共同で開発するアンモニア燃料船は、単なるサービスの向上以上に、海運業界全体の脱炭素化に向けた重要なメッセージをもたらします。
今後、自社の環境目標を達成しつつ、持続可能な海運の未来に向けて進めるこのプロジェクトは、他の企業や業界にも大きな影響を与えることでしょう。商船三井は、業界の先駆者として、環境問題に対する取り組みを一層強化し、持続可能な開発目標に貢献していくことを目指します。