2025年3月の国内景気動向の総括
2025年3月の国内景気動向は、株式会社帝国データバンクが全国2万6,674社を対象に行った調査結果をもとに発表されました。景気判断を示す「景気DI」は43.5と、前月から横ばいの状態を示しています。これは人出の増加などが好材料として寄与している一方で、食品や原材料の価格の高止まりが抑制要因となっていることが背景にあります。
景気DIの横ばい状態
今年の3月は、日経平均株価が31日に大幅に下落するなど、金融市場は米国の経済政策の変化に影響を受けました。食品や原材料の価格高騰、人材確保の難しさといった要因が多くの業種の収益を圧迫し、景況感を押し下げている現状があります。しかし、インバウンド需要や新生活シーズンに伴う小売業の活況が全体の景気を支える要因ともなっており、地域別では『四国』を含む一部地域は改善の兆しを見せています。
業界別分析
調査によれば、10業界のうち7業界が前月比で改善し、2業界が悪化しました。特にインバウンドや外出機会の増加がプラスに寄与していますが、燃料・原材料価格の上昇、人材の確保困難さといったマイナス要因も併存しています。各業界の動向を見てみましょう。
- - 製造業(39.6):4カ月連続で悪化が続いており、新築需要の低迷や原材料の高騰が影響しています。
- - サービス業(48.7):3カ月連続での悪化が見られ、メンテナンスや警備業の人手不足が懸念されています。
- - 小売業(39.2):自動車部品や化粧品小売が活況を呈し、3カ月ぶりに改善しました。
- - 不動産業(47.6):地価の上昇に伴う購入意欲の高まりがあったものの、物件価格の高騰に対する懸念も見られます。
規模別の動向
企業規模に関しては、大企業の景気が2カ月ぶりに改善した一方で、中小企業や小規模企業は横ばいの状況となっています。特に不動産業は地域差が見られ、大企業の悪化が際立ちました。
地域別分析
地域別では10地域のうち6地域が悪化を記録しました。特に『東海』『北関東』が苦しむ中、『四国』は改善を見せており、地域経済の二極化が浮き彫りとなっています。
未来の見通し
今後の国内景気は、実質賃金の増加と個人消費の好循環が重要なファクターとなりますが、米国の関税引き上げによる影響や家庭の節約志向、借入金利の上昇などが下押し要因になりかねません。ただし、インバウンド需要やIT関連の設備投資が支えとなることも期待されています。今後の景気は、これらの要因の相互作用を見極める必要があります。
最後に
2025年度も前年同様に賃上げが見込まれる中、企業側からは「賃上げ疲れ」との声も聞かれます。今後の経済状況に注視し、適切な対策を講じていくことが必要です。景気の横ばいが続く中で、インバウンド需要が織りなす新たな機会を捉えることが、地域経済の活性化に寄与するでしょう。