スポーツ界の暴力問題が浮き彫りに
公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)が2025年度に受けた「スポーツにおける暴力行為等相談窓口」での相談件数が603件に達し、過去最多を更新しました。この結果は、スポーツ・ハラスメント、つまりスポーツ現場における暴力やハラスメント行為が依然として深刻な問題であることを示しています。
相談件数の急増
2013年に開設されたこの相談窓口は、スポーツハラスメントに対する意識を高める目的で設立されました。相談件数は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた年を除けば、年々増加しており、2025年度の603件(大人向け564件、子ども向け39件)は従来の数値を大きく上回るものです。
この増加は「NO!スポハラ」運動の成果とも言えます。運動の普及により、スポーツハラスメントに対する意識が高まり、相談窓口自体の認知度も向上したことで、被害者が声をあげやすい環境が整ってきたことが背景にあると考えられています。
相談内容の特性
2025年度の相談内容を分析すると、特に多かったのは「暴言」でした。これに関しては全体の36%を占めており、次いで「パワーハラスメント」が23%となっています。この結果から、スポーツ現場における言葉の暴力が依然として問題であることが明らかになりました。
さらに、相談する側の年齢層にも注目が必要です。相談を受けた被害者の74%が高校生以下であり、なかでも小学生が39%を占めています。このことは、指導者からの不適切な行為を受けても声を上げられない子どもたちがいることを示唆しています。
特に、子ども向けの相談窓口は2022年に開設されて以来、対象となる子どもたちが相談しやすい環境を目指してきました。2025年度には39件の相談が寄せられましたが、前年の61件からは減少しています。この原因については、保護者が子ども本人に代わって相談するケースが多くなっている可能性が指摘されています。ただし、全体的には相談窓口の存在が浸透してきているとも言えるでしょう。
今後の展望
JSPOは、この実績をもとにさらなる取り組みを強化していくとしています。具体的には、情報誌「Sport Japan」やスポーツ指導者の研修を通じて、コーチング力やコミュニケーション能力の向上を目指します。これにより、スポーツ界における暴力やハラスメント行為の根絶に向けた生態系を構築していく計画です。
この暴力行為に対する意識を高める活動は、単に相談件数の減少を目指すだけでなく、スポーツをする者、観る者、支える者すべてが安心して楽しめる環境作りにつながります。今後のJSPOの取り組みに注目が集まっています。
関連情報として、JSPOの公式サイトでは、暴力根絶に向けた様々な取り組みや「スポーツにおける暴力行為等相談窓口」へのリンクも掲載されています。ご興味のある方はぜひ訪れてみてください。