日本の女性起業家を取り巻く5つの壁
日本では、女性起業家の数は依然として少なく、その背景にはさまざまな障壁が存在しています。MPower Partners Fundとボストン コンサルティング グループが共同で実施した調査は、その実態を明らかにし、解決策を模索するものです。
調査の概要
本調査は、国内のスタートアップ46社に対するアンケートと、9社へのインタビューを基にしています。調査結果によると、女性起業家の割合は約10%を占めるものの、その資金調達額は上位100社の中で1%未満にとどまっています。これは、日本経済の成長に寄与するスタートアップのエコシステムにおいて、女性の潜在力が十分に活かされていないことを示しています。
特に、引き立つのは女性起業家の創業初期におけるネガティブな経験です。応答した女性起業家の38%は、性別が原因となる否定的な影響を感じていました。一方、男性起業家ではこのような自覚はほとんど見られませんでした。さらに、2020年から2024年の間において、創業初期の企業評価額は男性起業家の半分にも満たないと指摘されていますが、IPO時の時価総額は男性の1.5倍程度に達しています。
女性起業家の活躍を阻む「5つの壁」
調査によって明らかになった、女性起業家が直面する主な5つの壁は以下の通りです。
1.
人材・スキルの不足:女性起業家は経営に関する知識や経験の不足を感じている他、適切なメンターとの出会いが限られているという意見が多く寄せられました。
2.
プロダクトの開発への難しさ:調査に応じた女性起業家の半数が技術的なハードルを感じており、81%がプロダクトの市場規模や成長性について投資家からの指摘に悩まされています。
3.
資金調達の困難さ:女性起業家の事業が投資家の関心とマッチしないことが多く、大口の資金調達が難しいという実態が浮かび上がりました。「公共&教育」分野は女性起業家による創業が多いものの、VC投資先としては最も割合が低い状況です。
4.
制度やインフラの未整備:男性主導のネットワーク形成の難しさや、育児・介護との両立に対する不安が影響しています。19%の女性が、資金調達や事業構想に相談できる相手がいないと感じています。
5.
文化的・社会的バイアス:女性起業家に対する無意識的なバイアスやロールモデルの不在も、大きな障壁となっています。
解決策の提案
MPowerのゼネラル・パートナーであるキャシー・松井氏は、これらの壁を乗り越えるためには、短期的にリソースへのアクセスを増やし、起業への不安を軽減することが重要だと述べています。また、中長期的には、性別に関わらず活動しやすい環境を整え、性別を理由としたラベリングを見直す必要があります。
調査報告書では、具体的なアクションプランも示されています。これからの日本において、女性起業家がより活躍できる環境を整えていくことが求められているのです。
詳細は調査レポートで
今回発表された調査結果や提案内容の詳細については、MPowerの公式サイトやBCGのレポートをご参照ください。