グッチ2026年クルーズコレクションの魅力
2025年5月15日、フィレンツェで華々しく発表されたグッチの2026年クルーズコレクション。この地は、グッチが1921年に誕生した場所であり、ブランドの歴史と文化の核を成す重要な土地です。今回のコレクションは、フィレンツェの豊かな歴史と独自のクラフツマンシップの伝統を色濃く反映しています。
フィレンツェは“永遠の春の都”とも呼ばれ、創造性に満ちた文化が根付いています。グッチはその地からインスピレーションを受け続け、過去と未来を結びつける独自のスタイルを築いてきました。今回の展示会場となったパラッツォ・セッティマンニは、グッチのアーカイブが保管される場所であり、歴史と現代をつなぐ重要な役割を果たしています。
コレクションの特徴
2026年クルーズコレクションは、ミニマルから贅沢なスタイルまで多様性に富んだ表現が際立っています。中世以来名産のブロケードやジャカード、シルク、ベルベットが使用され、伝統的な技法を駆使した美しいデザインが展開されました。レースやラインストーンで飾られたアイテムは、重層的な文化を投影しています。
GGパターンが随所に使用され、シングルGも新たにデザインされて登場。ウェアのシルエットは構築的なショルダーラインとオーバーサイズを活かしつつ、細身でエレガントなラインを描きながら、昼夜を問わず洗練されたスタイルを表現しています。これにより、過去と現代が息を合わせるかのように、グッチのアイデンティティを強調しています。
新作とクラフツマンシップの進化
新作のグッチ ジリオは、フィレンツェの象徴的なユリにインスパイアされたデザインで、ショー終了後すぐに販売が開始される予定です。そして、ポメラートとのコラボレーションによるモニリハイジュエリーコレクションも見逃せません。このコレクションは、両ブランドのクラフツマンシップを反映し、洗練されたデザインが特徴です。ゴールドやパヴェダイヤモンドを使用したネックレスやイブニングバッグは、職人技が際立つ商品となっています。
イタリアの美意識とファッションの未来
「sprezzatura(スプレッツァトゥーラ)」というイタリア独特の美意識が今回のコレクションとサロン形式のファッションショーには息づいています。これは自然体の中に計算された美しさを求めるもので、ルネッサンス時代の宮廷文化に深く根ざしています。グッチは、映画のようにスタイリッシュで贅沢な表現を通じて、シーンごとのキャラクターやスタイルを引き出してきました。
今回のショーでは、伝統的なフィナーレを行わず、モデルたちはフィレンツェの街に溶け込んでいく形が採用されました。これにより、グッチがフィレンツェとの深いつながりを強調し、未来への新たな旅立ちを象徴しています。“Gucci is Florence, and Florence is Gucci”という言葉が示すように、ブランドの物語はこれからも続いていくでしょう。
会場には、イ・ジョンジェやジャン・ハオ、ジュリア・ガーナー、ポール・メスカルといった多くのセレブリティが姿を見せ、華やかさを一層引き立てました。彼らもまた、この特別なコレクションの一端を共有することができました。
フィレンツェの歴史を感じながら、新たなグッチの物語が始まるこの瞬間に立ち会えることは、ファッションに携わる者にとっても素晴らしい体験となったことでしょう。