2025年9月26日、岡山市のANAクラウンプラザホテル岡山で開催された「岡山日経懇話会」で、国立大学法人岡山大学の舩倉隆央副本部長が「カーボンフットプリントを起点とした新たな価値創造」というテーマで講演を行いました。このイベントには、企業や行政の関係者など約30名が出席し、活発な意見交換が行われました。
舩倉副本部長は、社会人学生として岡山大学大学院の社会文化科学研究科に在籍しており、大学職員としての実務経験と大学院生としての研究を融合させています。彼は、地域や学生を巻き込む形式で新たなイノベーションを生み出すモデルを提案するとともに、具体的なプロジェクトについても紹介しました。
講演の中心的な話題は、カーボンフットプリント(CFP)の導入が中小企業のダイナミック・ケイパビリティ向上に与える影響です。舩倉副本部長は、この視点から大学が運営する「おかやまデジタルイノベーション創出プラットフォーム(OI-Start)」内で設立された「カーボンフットプリント起点の価値創造ワーキンググループ(CFP Nexus WG)」の活動を説明しました。このワーキンググループでは、学生、教員、企業、行政、金融機関が手を組み、CFPを基点にした新しい価値創造に挑戦しています。
さらに、岡山大学経済学部の学生による「カーボンフットプリントチャレンジ」など、環境省の「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」に採択された最新の取り組みも紹介されました。参加者からは、学生の主体性を活かした地域連携の良い例であるとの声が上がりました。
講演では、舩倉副本部長が開発に携わった「おかやまテックガレージ」についても言及され、学生が自由にアイデアを実現できる環境の重要性が強調されました。デジタル技術や場づくりを通じて、学生中心のイノベーションを促進することが目指されています。
最後に、舩倉副本部長は「CFPはCO₂排出量の可視化だけでなく、製品やサービスの特性を映し出す鏡のような存在である。過去を踏まえ未来を描く物語の起点として、多様なステークホルダーをつなげる共通の言語として価値創造の基盤になりうる」と語り、今後も学生や地域企業とともにカーボンフットプリントを軸にした価値創造に挑む意欲を示しました。
この講演は、岡山大学が進める「J-PEAKS事業」の一環であり、職員の専門性向上にも関与しています。研究マネジメントの職員が大学院での学びを活用し、社会に発信する姿勢は、現代の大学職員に求められる新たなモデルといえるでしょう。舩倉副本部長は、すでに日本原価計算研究学会の大会で優秀賞を受賞しており、実務に裏打ちされた研究成果が高く評価されています。
今後も岡山大学は、学生や地域、企業と協力しながら、カーボンフットプリントに基づく脱炭素経営やデジタルトランスフォーメーションの推進など、さまざまな分野での共創的な取り組みを強化していく方針です。地域の中核となる大学として、岡山大学の今後の活動にご期待ください。