内航業の新たな一歩、NX補助金の採択事業
国土交通省はこのたび、内航海運業の発展を促進するための『NX補助金』を用いて、新たに3件の事業を採択しました。この補助金は、内航事業者が造船や舶用事業者との連携を強化し、デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)など、現代の社会的要請に応えることを目的としています。
背景と課題
内航海運業は、国民生活や経済活動の基盤を支える重要な輸送インフラですが、最近では人口減少に伴う人手不足や事業基盤の脆弱さが指摘されています。これらの課題に直面した内航業は、より強靭で競争力のある業態へと変革する必要があり、そのための新技術の開発が求められています。
このような背景を受け、国土交通省は令和6年度に『NX補助金』を設立し、内航事業者と造船事業者の協業を推進するため、補助事業の3次募集を行いました。その結果、3件の事業が新たに採択されました。
採択された事業
以下は、採択された事業内容の概要です。
物流革新DX 1件
- - 事業名称: 船舶定点保持装置の曳船向け技術開発
- - 提案事業者: 日本郵船(株式会社京浜ドック、内海曳船株式会社共同提案)
このプロジェクトは、風や潮流に影響されずに船舶の位置を保持する技術を開発することを目指しています。これにより、運行の安定性が向上し、効率的な物流を実現できるとされています。
物流革新GX 2件
1.
事業名称: ペロブスカイト太陽電池を船舶に搭載するための技術開発
-
提案事業者: 新日本海フェリー株式会社(三菱造船株式会社共同提案)
この技術開発により、次世代型太陽電池を船舶に導入し、エネルギー効率の向上を図ります。特に、軽量かつ折り曲げや歪みに強い特性を持つペロブスカイト太陽電池は、画期的なエネルギーソリューションとして期待されています。
2.
事業名称: アンチローリングタンク(ART)とシステム操船による省エネ運航ならびに船員負荷軽減のための技術開発
-
提案事業者: 旭洋造船株式会社(株式会社三輪共同提案)
この取り組みでは、タンク内の液体の移動によって船舶の横揺れを軽減させ、効率的で安全な運航を実現します。これにより、船員の負担を軽減するとともに、エネルギー消費の削減も期待されています。
今後の展望
内航業界は、採択された技術が現実のものとなることによって、持続可能な変革へと進むことが期待されています。国土交通省は、今後も内航海運業の発展に寄与するような支援を続けていく方針です。これにより、内航海運業の基盤強化と、さらなる技術革新が進展することを心より願っています。