生涯学習開発財団が提供する博士号取得支援事業
生涯学習開発財団(理事長 佐藤玖美)は、2025年度の「博士号取得支援事業」の応募を9月1日よりスタートしました。この支援は、社会的意義のある独創的な研究を行い、博士論文を執筆中または提出予定の50歳以上の方々を対象にしたものです。選ばれた応募者には、一人あたり50万円の助成金が支給されます。これは、定年後も学び続け、社会に貢献し続ける中高年の挑戦を全面的に支援するための施策です。
背景と理念
生涯学習開発財団は、1983年に設立されています。その理念は、「人間は感動する心を失わず、何ごとかを学び続ける限り、年齢にとらわれない生き方をすることができる」というものです。平均寿命が延びる中で、定年後も学び続ける中高年は、重要な社会資源となります。このため、財団では2011年度から50歳以上の方を対象に博士号取得の支援事業を行っており、今後の高齢化社会を見据えた取り組みとして注目されています。
元理事長の影響
この支援事業は、当財団の元理事長である松田妙子の経験から生まれました。彼女は1999年、71歳で博士号を取得したことがあり、その体験を基に「50歳以上」という年齢制限を設けることにしました。彼女自身、高齢者向けの奨学金が少なく、特に社会人が博士号に挑戦しにくい現状があることに気付きました。その結果、この支援を始めることを決意したのです。
支援事業の詳細
この支援事業の応募資格は、満50歳以上で日本国内に在住し、博士課程に在籍または論文博士を目指す方です。応募者は、財団のウェブサイトおよび広報媒体に氏名や写真、研究タイトルを公開することに同意する必要があります。
応募書類には、指定申請書、研究計画書の提出が求められます。また、博士課程在籍中の方は在学証明書や業績証明書、指導教授の推薦書なども必要です。一方で、論文博士を目指す場合は身分証明書や論文指導者の推薦書が求められます。
応募締切は2025年12月5日です。その後、2026年には書類選考と最終選考が行われ、合否は1月30日に通知されます。授与式は2026年3月に予定されています。
過去の取得者から学ぶ
財団の博士号取得支援事業を通じて、実際に博士号を取得された方々のインタビューも行われています。例えば、平岡さゆりさんは53歳で博士号を取得し、論文テーマは「遺伝性腫瘍とともに生きる患者とその家族の疾患受容プロセスに関する質的研究」です。また、津田昌宏さんは79歳で教育学の博士号を取得し、アメリカの学校管理職の基準に関する研究を行いました。これらの活動は、年齢にとらわれずに学び続けることの重要性を示しています。
将来への期待
生涯学習を通じて多くの人が学び、成長し続けることは、社会全体の活力にもつながります。生涯学習開発財団のこの支援事業は、まさにその一助となるでしょう。
詳細につきましては、オンラインで掲載されている募集要項をご覧ください。また、併せて「松田妙子賞」と呼ばれる新たな賞も募集中です。多様な学習活動を顕彰し、支援するもので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。公式ウェブサイトには、さらなる情報が提供されています。