腸内細菌の遺伝子研究
2026-06-05 14:27:20

ヒト腸内細菌の遺伝子改変ツール開発と炎症制御因子の発見

ヒト腸内細菌の遺伝子改変ツール開発



ヒトの腸内には40兆個以上の細菌が生息し、これらの細菌は腸内細菌叢と呼ばれ、私たちの健康や疾患の発症に大きな影響を与えています。特に、Mediterraneibacter gnavus(M. gnavus)は、炎症性腸疾患やアレルギーといった様々な疾患に関連する腸内細菌として注目されています。最近、筑波大学の研究チームは、このM. gnavusの遺伝子改変ツールを新たに開発し、炎症を抑制する因子を同定することに成功しました。

研究の背景



M. gnavusはLachnospiraceae科に属し、健康な人々の腸内にも存在しますが、炎症性腸疾患患者においてその量が増加しています。これまで、M. gnavusの遺伝子改変が困難であったため、その病原性や腸内での定着メカニズムについての研究も進んでいませんでした。

新たな遺伝子導入ツールの確立



本研究では、M. gnavusに特化した複数の分子遺伝学的ツールを開発しました。これには、遺伝子導入用のプラスミドや蛍光標識、遺伝子欠失法などが含まれています。これにより、M. gnavusの細胞表層に関与する遺伝子の影響を解析し、腸内での定着因子や病原性因子を特定することが可能になったのです。

莢膜多糖の重要性



研究の結果、M. gnavusが産生する莢膜多糖が腸内定着に深く関与していることが明らかになりました。この莢膜多糖は、宿主の免疫から細菌を隠す役割を果たし、炎症を抑制する機能も持っているんです。特に、クローン病患者から分離した株では、莢膜多糖生産に関連する遺伝子が欠失していることが確認され、炎症性疾患との関連性が強く示唆されました。

今後の利用可能性



この研究成果は、ただの学術的な発見にとどまらず、実際に臨床やプロバイオティクスの開発にも貢献できる可能性を秘めています。M. gnavusの遺伝子機能解析を進めることで、炎症性疾患のメカニズム解明や新たな治療法の提案が期待されます。

研究チームと今後の展望



本研究を主導したのは筑波大学医学医療系の尾花望助教と、慶應義塾大学の福田真嗣特任教授です。彼らはM. gnavusに関連する多種多様な遺伝子の機能を解明し、さらなる研究に繋げる意欲を示しています。

今後、この遺伝子改変ツールが他のLachnospiraceae科の細菌にも適用されることで、より広範な腸内細菌研究が進展することが期待されます。さらに、これらの研究成果は、個々の健康状態に応じた次世代プロバイオティクスの開発や疾患予防、治療法の新たな展開につながるでしょう。


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